【23.10.26】中小企業家の緊急要望・提言
今こそ中小企業憲章の理念を政策に!
急激な経営環境の悪化の中での負担増に反対する!
-家計負担軽減、手取り収入増、中小企業への負担軽減を―

 日本経済を取り巻く環境は急激に悪化してきています。コロナ禍を受け、物価上昇・エネルギー価格の上昇の中で、価格転嫁が追い付いていない状況があります。物価上昇局面において実質賃金が減少しており、政府の責任は重いものがあります。中小企業・小規模事業を取り巻く環境は、「ゼロゼロ融資」の返済、インボイスへの対応、企業において最低賃金の上昇、従来の採用難に加えて収入の壁による就業調整とそれに起因する人手不足・人材確保・人材配置が一層困難な状況になっています。働き方改革への対応や賃金上昇による就業抑制による問題もあります。にもかかわらず、新たな政策の財源を増税や支援金という名の社会保険料率等の増額での対応を検討しようとしています。消費増税との声もあります。いずれにせよ負担増の方向に私たちは断固反対します。今は経済対策による税収増、歳出削減や特別会計余剰金や積立金、租税特別措置法をはじめとする大企業優先税制や高額所得者の所得税・社会保険料の負担率の是正を進めるべきです。特に物価上昇や経営環境の悪化の局面では、減税政策や社会保険料の減免などによる、家計負担の軽減、世帯の手取り収入の増加を進める施策を実施し、中小企業・小規模企業への負担軽減を図るべきです。今日最も重要なのはスモールファーストすなわち中小企業憲章の理念に沿った大胆な政策転換であることを重ねて提言いたします。

1.社会保険料率アップや増税には反対、減税や社会保険の減免を進めるべきです

(1)支援金という名の社会保険料率アップや増税には反対。早急に経済対策や支援策を取りまとめ、速やかに実施すること。

(2)物価上昇に応じた減税。アメリカなど諸外国で導入する「物価スライド税制」等の導入など家計や企業の負担軽減となるような減税政策の実施。

(3)価格転嫁がスムーズに進むよう指導並びに罰則の強化。

(4)市場の寡占化を防ぎ、カルテル防止や公正な市場のルールの徹底。一層厳正・迅速な政策的対応。

(5)少子化対策は、税制・社会保障・医療費・保育費・教育費・奨学金・住居費等あらゆる分野に及ぶため、総合的な対策が必要。世帯収入が上がり、家計負担が軽減できる総合的な予算配分を要望する。その財源を社会保険料率アップや増税に求めることは断固反対。

2.世帯収入アップ・人手不足への対応のため「収入の壁」は引き上げるべきです

(1)年収130万円を超えたパート労働者等は、社会保険加入が必要となり手取り収入が激減するため、賃金が上がっても労働時間を抑制するため、収入の壁の問題を払拭する政策の立案と早急な実施を求める。

(2)イギリスの一定年収を超えた部分だけに料率の保険料を徴収する仕組みの導入、あるいは社会保険料の減免や助成及び給付、1977年の70万円から段階的に10万円ずつ6回にわけて1993年に130万円に上限を改定していることを踏まえ、所得水準の伸びに応じて収入の上限をあげたり、そもそも壁自体を撤廃するなど大胆に検討すること。同時に住民税や所得税による配偶者の年収の壁も世帯収入増加の方向で見直すこと。

(3)パート労働者等への厚生年金の適用拡大について、2022年10月に「101人以上」に施行され、2024年10月に「51人以上」に施行されますが、適用拡大は凍結すること。105万6千円の壁が新たにできています。

以上

2024年10月26日
中小企業家同友会全国協議会 会長 広浜泰久