【酒蔵18】純米吟醸酒への想いが「北のさくらさく」に結実 福司酒造(株)(北海道釧路)

純米吟醸酒への想いが「北のさくらさく」に結実
同友会釧路支部と高級カキ「カキえもん」に合う酒を開発
福司酒造(株)(北海道釧路)

1軒だけになった釧路の酒蔵

 釧路で日本酒を造っている酒蔵は、福司(ふくつかさ)酒造(株)(梁瀬(やなせ)之弘(ゆきひろ)社長、北海道同友会会員)しかありません。それは日本酒を造るにはあまりにも過酷な気候のせいです。

 「1887年には、釧路には26軒の酒蔵がありましたが、1970年にはわが社だけになってしまいました。釧路は冬季の水を確保するのが大変で、酒蔵の中での作業も寒すぎたのです。『魏志倭人伝』にも日本酒を飲む日本人の記述があるほど、日本酒は私たちの文化に深く根ざしていますが、北海道では根付かなかった」と社長の梁瀬之弘さん(49歳)。

 戦争中の米不足によるアルコール添加日本酒が戦後も流通して、日本人が古来から呑(の)んでいた純米酒が減ってきています。さらに、「北海道の酒の消費の80%は本州の酒です。灘や伏見などの大手酒造メーカーが攻勢をかけてきて、地域の酒蔵が消えていった」と悔しがる梁瀬さんです。

純米吟醸酒「北のさくらさく」への想い

 北海道同友会釧路支部(横地敏光支部長、440社)では、地元・厚岸の高級カキ「カキえもん」にあう日本酒の開発を、福司酒造と協力しながら進めてきました。

 「カキに合う酒は白ワインだと、日本人は長い間信じてきましたが、地元のカキには地酒の日本酒を飲もう、という食文化を提案したい」と、酒の名前を「中小企業家しんぶん」などで公募したところ、多数の応募があり、このほど「北のさくらさく」(京都同友会会員の峰松日出夫氏が命名)と決定。会員の想(おも)いをこめて誕生した「北のさくらさく」は、北海道産米を100パーセント使用した純米吟醸酒です。

 「北のさくらさく」は、11月1日から発売を開始し、予約は10月10日からインターネットとFAXで受け付けています。また、同友会釧路支部では、「北のさくらさく」と厚岸の最高級カキ「カキえもん」をセットにして、限定3000セットを5000円(全国送料込み)で販売しています。

 「吟醸酒は手間がかかります。カキに合うように少し辛口に仕上げました。私としては本来の日本酒を造ったという自負があります。地元の食材に合うのは地元の酒蔵から誕生する日本酒です」と梁瀬さんはきっぱりと語ります。

 「北のさくらさく」の申し込みは、北海道同友会釧根事務所まで
TEL 0154-31-0923
FAX 0154-31-0944
URL http://portal.doyu-kai.net/

【会社概要】
創業
 1919年(大正8年)
資本金 2000万円
年商 2億円
社員数 10名
業種 清酒製造
所在地 北海道釧路市住吉
TEL 0154-41-3100
URL http://www.fukutsukasa.jp/

「中小企業家しんぶん」 2006年 10月 15日号より