食と農研究会がTPP問題研修会開催~環太平洋経済連携協定をどう見るべきか?【静岡】

 静岡同友会の「食と農研究会」(食の安全安心や農業問題をはじめ、会員の経営報告やギフト品の企画販売などを中心に活動。6期目)は、11月15日、TPP(環太平洋経済連携協定)研修会を開催しました。食と農問題に関わる会員以外に、建設業や製造業、サービス業など、業種を問わず35名が参加して学びました。

 丸山博氏((有)第一コンサルティング・オブ・ビジネス社長、東京同友会会員)を講師に、「TPP問題をどう見るべきか?」と題し、変化する世界情勢を中小企業家がいかに捉えるかを主点に開かれました。

 丸山氏は、物品の貿易自由化協定FTA(自由貿易協定Free Trade Agreement)と、物品以外にサービスや人の移動、知的財産権の保護や投資の自由化なども対象にした経済連携協定EPA(Economic Partnership Agree-ment)の違いを説明。2006年に4カ国で始まったTPP4から、2010年よりアメリカが加盟交渉国として加わり、EPAの性格を持った新TPPに拡大され、民主党政権の新成長戦略で「質の高い経済連携」に位置付けられていると指摘しました。

 また日本の農業問題は、1970年代からの「減反政策」に遡り、さらに「TPP」加盟となれば、主業農家のモチベーション低下、中長期的な食料自給率の低下が危惧されること。また医療・福祉などのサービス自由化問題では、医療格差の拡大や、医療機器・新薬メーカーなど外資企業の利益のみにつながる恐れがあることなどを説明しました。

 参加した会員からは、「いずれにせよ、業種によって影響がさまざまで安易な問題ではない。本質を考えることが大切。表面的に捉えていた自身の考えを見直す機会になった」などの感想が出されました。

「中小企業家しんぶん」 2011年 12月 15日号より