三方良しの精神で業績拡大~(株)山秀木材(ヤマヒデホーム) 専務 山田由理枝さん(富山)

お客様・社員・協力業者&地域の喜ぶ顔

 耐震偽装に端を発した建築許可の遅れや、原油等の輸入資材高騰で景気が低迷する建築業界の中で、毎年売上15%アップを続ける元気企業「ヤマヒデホーム」の山田由理枝専務(富山同友会会員)を訪ねました。(『同友とやま』8月号より)

製材業で創業

ヤマヒデ・ウッドカーニバルで丸太切り体験

 ヤマヒデホームは、現社長の父が1953年に製材業の「山秀木材」として創業し、主に県内建築業者の下請けをしてきました。

 しかし、洋風住宅の売上が伸び、価格競争から安い輸入材や化粧パネルが使用されるようになり売上が減少。さらに業界慣習の長期手形などで次第に経営が圧迫されていきました。結婚以来、経理を担当していた山田専務は、現社長であるご主人と「今後、会社の将来をどうしていこうか?」と語り合っていました。

無垢材使用の家づくりで一念発起

 当時、建築資材から出る環境破壊物質によるアレルギーや喘息(ぜんそく)、いわゆるシックハウスが問題になっていました。ヤマヒデが扱っている天然無垢材は、リフレッシュ、消臭・脱臭、抗菌・防虫など人に優しい素材です。

 「伝統家屋の良さ、木の温もりや香り、そして木組みの美しさを望む人がきっといるはずだ」と考え、「自分たちの手で住む人が健康になり幸福にする家を建ててあげたい」と一念発起。そこから山田さんは猛勉強して、3年で建築士と宅建免許を取得しました。そして1996年、山秀木材の建築部門として天然素材の家・ヤマヒデホームを立ち上げました。

 初年度の受注棟数はゼロでしたが、社長と共に営業の最前線に立ち、伝統家屋の美しさや天然無垢材の良さをお客様に伝えていきました。その誠意ある姿勢が伝わり、1軒また1人とヤマヒデファンが増えていきました。

三方良しの理念

 「わが社にかかわる全ての人が楽しく仕事ができなければ、お客様が満足する家造りはできない」との思いから、山田さんは「社員や協力業者の皆さんは、楽しく仕事をしているだろうか」と常に問いかけています。

 現在、製造部門と建築部門を併せて、社員数約50名にまでなりましたが、その半数は大工さんです。これは、仕事が不定期で不安定な請負大工さんを社員として雇用し、収入を保証することで、お客様の納得いく家造りに思う存分専念してほしいとの思いからです。

 また、「社員がいい仕事をするには、家族のバックアップがあってこそ。家庭を大切にして欲しい」と、夜8時以降の残業は禁止。利益の20%は社員全員に配分しています。

 以前「こんな値段でできるか」と文句を言いながら仕事をする業者さんを見て、「あれじゃいい家はできない。うちは協力業者いじめをするような会社にはならない」と決心して、信頼関係を築くことを第1に取り組んできました。

 「お客様・社員・協力業者&地域の喜ぶ顔がある」、三方よしの精神がヤマヒデホームの経営理念です。

苦情はスキ!好き!のラブコール

 「お客様に幸せになって頂きたい」の精神は、クレームの対処にも現れています。「苦情はスキ! 好き!のラブコールなのだから、誠心誠意で答えるのが当たり前」と、お客様から苦情が入ったら即対応。さらに家造り後も、「お客様は一生涯付き合っていく家族だから」と、家族ぐるみで参加できるOB会を定期的に開催しています。新築やイベント情報などヤマヒデに関するさまざまな出来事を紹介する広報誌「ヤマヒデ・サークル」の編集長は、第1号のお客様です。

 新規のお客様向けには、年に数回、完成展示会や建築工程をみてもらうためのツアーを実施しています。どんな業者さんがかかわっているのか、どんな木を使い、どんな技術でどんなふうに建てているのか、などを見てもらうことは、お客様との大きな信頼づくりにつながっています。

 9月7日には、富山市の中心商店街で木の良さを知ってほしい、木に触れて欲しいと、「ヤマヒデ・ウッドカーニバル」を初めて開催しました。大工さんが伝統の技で8畳ほどの家をつくる工程が見えるミニ建方、丸太切り・かんな削りの体験、積み木・ボーリング・小物づくり、家具展示即売など、家族で1日楽しめる内容が盛りだくさんでした。

 「社員みんなで、世の中に必要とされる仕事、役に立つ仕事をしていこうといつも話し合っています」と言う山田専務。地域になくてはならない企業、業界の牽引者としてますますの発展を確信しました。

会社概要

創業 1953年
資本金 2500万円
年商 8億円
社員数 51名(内パート5名)
業種 住宅建築、建材製材加工(天然素材のみ)、住宅建物取扱業
所在地 富山県砺波市太郎丸
TEL 0763-32-7077
http://www.yamahidehome.co.jp/

「中小企業家しんぶん」 2008年 9月 25日号より