中小企業はすでに“アベノミクス不況”のさなか【同友会景況調査(DOR)110号(2014年10~12月期)速報発表】

中小企業のダイナミクス(躍動力)が日本経済をたてなおす

 2014年7~9月期の国内総生産(GDP)改定値は前期比0・5%減、年率換算で1・9%減と、多くのエコノミストの見込みとは裏腹に24半期連続のマイナス成長となりました。GDPの重要な構成部分である中小企業への注目が欠かせません。

 DORの前年同期比の業況判断DI(「好転」―「悪化」割合)は△5→△7とさらに悪化しました。見通しに反した後退が続く異常事態です(図)。

 さらに次期(2015年1~3月期)は悪化を予想しており、これが実際になると消費増税前から30ポイント超の悪化です。中小企業はすでに“アベノミクス不況”のさなかです。

 円安進行による原材料高騰は収束していません。仕入高DI(「上昇」―「下降」割合、前年同期比)は2012年末の8倍の水準です。採算改善の努力が続いてきましたが消費増税の実施でダメージを受け、採算DI(「増加」―「減少」割合、前年同期比)は低迷したままです。

 中小企業がこのような状況では景気回復はあり得ません。「売上強化を図っていますが市場が縮小しており対策が追いつかない状態。アベノミクスは大企業だけはよいでしょうが私どもにとっては最悪(北海道、流通・商業)」。全国津々浦々の中小企業の経営努力を、日本経済回復の推進力として位置づけられるかどうか、安倍政権の経済政策が問われています。

 速報の詳細は中同協ホームページに掲載しています。
https://www.doyu.jp/research/dor/

図 業況判断DI(前年同期比)の推移

「中小企業家しんぶん」 2015年 1月 15日号より