貧困のない世界を創るために―グラミン銀行総裁ムハマド・ユヌス氏が講演【東京】

 「貧困のない世界を創(つく)ろう」と、バングラディシュにグラミン銀行を創設したムハマド・ユヌス氏(2006年ノーベル平和賞受賞)の講演会が3月17日、東京・椿山荘で開かれました。今年7月に中同協設立40周年記念総会を東京で開催することにちなみ、東京同友会がそのプレ例会として開いたもの。

 会内外から約300名が参加し、マイクロ・クレジット(無担保小口融資)をはじめ、個人的利益ではなく、社会的目標を達成するためのソーシャル・ビジネスが、貧困をなくすためにどれだけ大きく社会を変えてきたか、自らの実践を通して語りかけるユヌス氏に魅了されました。

 ユヌス氏は、高利貸しに自由を奪われて、最貧層から抜け出せないバングラディシュの人々の現実に衝撃を受け、貧しい人々のための銀行を創設し、普通の商業銀行なら相手にしない貧しい女性たちに無担保で小口融資し、彼女たちはそのお金で小さな仕事を興し、自信と誇りを持って自立してきたことを紹介。重要なことは「信頼」だといい、返済率は97~98%を誇ります。さらに、教育や医療、情報などで、次々と新たなソーシャル・ビジネスを立ち上げています。

 グラミンの支援で大学を卒業した子どもたちには、「どこかに雇われることを考えるのではなく、自ら仕事を興し、雇用の場を広げてはどうか」とアドバイスするといい、日本の中小企業家にもエールを贈りました。

 全国総会では、グラミン銀行から学び、企業は何のためにあるのかを分科会で深めます。

「中小企業家しんぶん」 2009年 4月 5日号より