「地域のみんながハッピーに」が原点(前編) (株)アズマ 代表取締役 中島 一嘉氏(福岡)

 中同協では、昨年の第48回定時総会において、中小企業家エネルギー宣言を採択しました。各地ではエネルギーシフトの学習会や企業の実践が広がりを見せています。今号より、(株)アズマ(福岡同友会会員)の取り組みを2回に渡って紹介します。

地域電力会社を地元の企業73社で立ち上げ

 八女市は福岡県の南部、福岡市から南へ約50キロメートルに位置し、人口約6万8000人、総面積は県内2位。中南部は平野、北東部は森林がひろがり、豊かな大地が、手すき和紙・仏壇・提灯などの伝統工芸品や茶・電照菊・椎茸などを育んでいます。

 (株)アズマは、父である先代の中島東氏が、建築板金、屋根工事、とい工事などを業務として1978年に創業。現社長の中島一嘉氏は2代目です。会社を職人集団と位置づけ、職人を「社会に対する強い使命感を自らの技能を最大限に生かし、使命をまっとうし続ける人」と定義付けています。

 「地域のみんながハッピーに」を経営理念に掲げ、自社の事業をみつめ、各施策も取り入れながら、事業を広げてきました。

 八女で生まれ、八女で育った中島氏は、人一倍地域の思いがあります。事業を通じて地域にいかに貢献するかと深めていった結果が現在のグループ会社に至ると話します。現在アズマックスグループ6社で、再エネ関連機器、企画販売、コンサルティング事業からトマト栽培を中心にした、スマートアグリ事業まで展開しています。

 経営者として一番の試練は、リーマンショックの後でした。売上激減で「もうダメだ!」と何度も思い、あきらめかけていた時に、手を差し伸べてくれたのは、ほかならぬ地域の多くの人たちでした。

 このことをきっかけにして、この地域に恩返ししたい、いい地域にし、みんなが幸せになることに貢献したいという思いは一層強まりました。

 早くから、太陽光パネルの可能性に気づき、事業展開してきた中島氏にとって、再生可能エネルギーをさらに広げることと、この地域を持続可能にすることがつながっていきました。そのキーワードは「もったいない!」でした。

(次号につづく)

アズマックスグループ会社概要

<アズマックスグループ> (株)アズマ含め7社で構成
創業:1978年5月
年商:17億円(平成28年期)
従業員数:29名(グループ全体)
所在地:福岡県八女市吉田1645-4
電話番号:0943-24-4001
URL:http://www.e-azuma.jp

「中小企業家しんぶん」 2017年 7月 25日号より