自然エネルギーで地域を潤し、未来をつくりだす くまもと未来会議見学例会【熊本】

 熊本同友会では、2016年に発生した熊本地震の際、対策本部を立ち上げ災害対応を行ってきました。現在は対策本部の名称をくまもと未来会議と改め、熊本地震からの復興を推進する目的で、SDGsやエネルギーシフト、事業継続計画(BCP)の勉強会などを行っています。

 その1つの活動として、これからの地域エネルギーの課題と対策について知ってもらうために、4月24日徹底した省エネに取り組んだ普段見られない建築途中の(株)咲の社屋建設の見学例会を行い、11名が参加しました。

 まず、早咲京子氏((株)咲代表取締役)より、この新社屋に取り組むきっかけについて、東日本大震災や熊本地震の経験を踏まえ、エネルギーシフトに取り組みたいとの思いはありながら、実践に至っていなかったこと。しかし、2017年に富山で開催された女性経営者全国交流会で、岩手同友会の(株)平金商店の平野佳則氏と木村恵子事務局次長の分科会報告を聞き、エネルギーシフトの実践が中小企業振興条例の取り組みそのものであり、熊本地震からの復興にもつながっていることに気づき、ヨーロッパ視察に同行してさらに学びを深めたとの報告がありました。

 今回の新社屋建設は、エネルギーシフトの実践であり、建設で一番こだわった部分は、断熱でした。ヨーロッパ視察の際に、外ではコートが必要不可欠だった時、ホテルの中では、薄着でも寒さを感じなかったそうです。その経験が、エアコンで温度調整があまり必要のない、エアコンの使用を極力使用しないでいいようにと幾重にも断熱材を入れた外壁で、快適な生活環境が保たれるようにと特に力をいれています。

 また、SDGsにつながるよう、今後は太陽光パネルを設置してエネルギーの完全自給自足を予定しています。この共生型福祉事業所の建物には、地域の憩いの場を目的としたカフェなども設け今秋には完成予定です。災害時に地域にお役立ちできるよう、避難所としての活用も視野に入れています。今の季節との体感温度の違いを実際に体験してもらいたいと、完成後の冬に見学例会を予定しています。

 くまもと未来会議のビジョンは「地域社会の子どもたちの幸せな未来の実現」。SDGsと自社の企業理念・ビジョンとの整合性を精査し、結びつけることで自社の存在価値と向かうべき方向性、事業の継続性との相関を明確にし、10年計画を立案できることをめざしています。

「中小企業家しんぶん」 2022年 5月 25日号より