【連載】同友エコ2021受賞企業 伝統を止めない 新しい伝統をはじめる~生分解性バイオプラスチックと会津塗の融合~ (株)三義漆器店 代表取締役 曽根 佳弘氏(福島)

 同友エコ2021受賞企業を紹介する連載。第2回目となる今回は、幹事長賞と外部審査委員賞を受賞した(株)三義漆器店(曽根佳弘代表取締役、福島同友会会員)の取り組みを紹介します。

100%生分解性バイオプラスチック(生分解性バイオプラ)との出合い

 (株)三義漆器店は、合成樹脂などのプラスチック類を原料とした漆器類の製造・販売をしています。

 SDGs、カーボンニュートラルへ取り組んでいる中、第7回ものづくり日本大賞内閣総理大臣賞を受賞された小松技術士事務所長の小松道男氏が推進する「海洋マイクロプラスチック削減への取り組み」に出合い、生分解性バイオプラ(使用後に土に埋めることで分解され自然に還る環境にやさしいプラスチック)が「430年の伝統を誇る会津塗」と地域の主力産業である「会津清酒」を融合させた、地球を守る漆器『紫翠盃』(しすいはい)を作ることに成功しました。ネーミングは、会津らしさを醸し出させる言葉、自然豊かな会津を連想させる言葉として、山の木々がみずみずしく青々としていて美しい様子を表現している四字熟語、「紫幹翠葉」から名付けました。

 この成功は、海洋マイクロプラスチック問題に対する啓発活動とともに、会津から全国へ、さらには世界(ドバイ国際博覧会・日本パビリオン来場者記念品採用)へと広がりをみせました。

 これは「海洋マイクロプラスチック問題」に端を発した自然環境問題に対し、100%生分解性バイオプラ(PLA/ポリ乳酸)を周知する取り組みと「会津塗」の伝統技法が新たな価値観を見いだした結果だと感じています。

朝の清掃活動&地域貢献活動

 2017年に、当時1社で始まった会津鶴ヶ城周辺の清掃活動も、年々参加企業が増えました。今は、残念ですが、コロナ禍により合同清掃活動は中断していますが、独自の清掃活動は継続的に行っています。ほかに環境面では、再生可能エネルギー事業(FIT法適用)にも取り組んでいます。再生(リサイクル)材による新製品開発や利用促進、その他の3Rに関する取り組みも全社で実施しています。今はEMSにも興味関心があり、情報収集をしているところです。

 プラスチックが現れて1世紀あまり。その間、さまざまな改良が加えられいろいろな工業製品が生み出され、人々の暮らしを向上し続け、いまやプラスチック製品は不可欠となりました。プラスチック製品は決して「悪」ではなく、使う私たち人間次第で生かすこともできると思います。そのためにも、環境経営について自覚する必要がわれわれ経営者には強く求められている時代になりました。これは自らの意識改革から始まります。小さな一歩ですが、気付けば周りが変わり、世界もよくなっていきます。この事こそ、真のCSR活動であり、企業の社会的責任・社会貢献活動ではないでしょうか。

 (株)三義漆器店は、山里「会津」から100%生分解性バイオプラ製品と地域資源を活用したバイオマスプラスチックの開発および生産を推進、化石由来プラスチック使用量抑制にこれからも努めて参ります。

 私たちは、伝統を止めません!新しい伝統をはじめます!

【会社概要】

創業年:1935年5月1日
設立年:1965年4月16日
資本金:1,000万円
従業員数:83名
事業内容:会津塗製品の製造、卸(お椀、プレート、ボウルなど)
URL:https://www.owanya.com/
   R+E事業部 https://www.reproducts.co.jp

「中小企業家しんぶん」 2022年 10月 5日号より