2021年度の同友エコ(環境経営・エネルギーシフト・SDGs)アンケートについて 中同協環境経営委員長/弁護士法人赤津法律事務所 代表社員 赤津 加奈美

中同協では、毎年同友エコとして「環境経営・エネルギーシフト・SDGs」に関するアンケートを実施しています。2021年度は1502社から回答があり、専門家の協力も得ながら同友エコ2021の受賞企業が決定しました。中同協環境経営委員長によるアンケート結果のまとめです。

2021年度の同友エコ(環境経営・エネルギーシフト・SDGs)アンケートは、29同友会から1502(昨年度は28同友会から1307)の回答をいただきました。たくさんの同友会と会員さんのご参加、ありがとうございました。

今、なぜ、中小企業も脱炭素・環境経営か?

取引先大企業からCO2排出量や削減計画の問い合わせを受けていませんか? これは2015年に世界が2℃目標で合意したパリ協定、2018年にIPCCが公表した1・5℃特別報告書を受け、世界の金融と投資が企業に、TCFD(気候関連財務情報開示)、SBT(パリ協定目標達成削減シナリオに整合する科学的削減目標設定)、RE100(再エネ電力100%)を求めるようになり、Scope3(サプライチェーン排出量)もその射程に含まれているからです。この世界的潮流に国内中小企業も無縁ではいられません。ピンチをチャンスに、まさに今、その時が来ています。

同友エコアンケートに参加する意義

同友エコアンケートは、脱炭素が世界人類共通の喫緊の課題であることから、EMS(環境マネジメントシステム)を意識して構成しています。これに、SDGs、再エネ、社員教育、BCPを加えています。回答しながら、自社のできている点、足りない点、気づかなかった点など、チェックしていただけるようにしています。

また、この間の受賞では、地元同友会であまり知られていなかった会員企業さんのスゴイ取り組みも掘り起こすことができました。アンケート結果は各地同友会でも活用できます。各地でいろいろな活用法を工夫してみてください。

今年度アンケート回答の特徴や傾向

昨年から回答数が増え、大まかな傾向は昨年と同様ですが、環境経営に取り組みたいのだけれど、という回答率も少し増え、アンケートの裾野が広がった印象です。

再エネ関連事業の取り組みが増え、主要事業の1つとして取り組んでいる回答、認証付きグリーン電力を利用している回答、が増えました。太陽光に加え、風力や小水力も増えています。

省エネ省資源では、新規設備よりも既存設備の効率利用や適正管理、廃棄物の発生抑制、が増えました。

建設関連で、ZEBやZEH、省(小)エネリフォームへの取り組みが増えたのも特徴的です。

農林水産関連では、消費者や流通業者に対する啓発活動の回答が増え、業界横断的に関心が広がっていることが伺えます。

SDGsに対する関心は高く、社員に説明できる、社員も説明できる、ゴールを設定して取り組んでいる、の回答がいずれも増えました。

最後に、お願いとワンポイントアドバイス

今年2022年度アンケートはすでに8月から始まっています。締切りは年末です。ポイントは「自由記述」欄です。面倒がらずに自社の取り組みを精一杯アピールしてください。また、取り組み内容の選択肢も規模や業種に応じて「自社なり」の回答で大丈夫です。

「中小企業家しんぶん」 2022年 10月 15日号より