連載「社会に開かれた教育課程」の実現に向けて~第4回 社会に開かれた教育課程~特別活動やキャリア教育の視点から~

 2020年度から、新しい学習指導要領に基づく学校教育が始まります。新しい学習指導要領がめざすのは「社会に開かれた教育課程」の実現です。前回まで解説した新しい学習指導要領の理念である「社会に開かれた教育課程」の実現には、さまざまな方面からの取り組みが必要です。今回は、特別活動やキャリア教育の視点からの企業などのかかわり方についてお知らせします。

産業・経済の構造的変化や、民法の一部改正による令和4年4月1日からの成年年齢引き下げなどから、「1人1人の社会的・職業的自立に向け、必要な基盤となる能力や態度を育てることを通して、キャリア発達を促す教育」(平成23年1月中央教育審議会答申)であるキャリア教育を充実させていく必要があります。

新学習指導要領では、小・中・高等学校において「キャリア教育の充実」を明記するとともに、キャリア教育が体系的に推進されるよう規定しました。

また、新学習指導要領では、特別活動の指導にあたり、将来のあり方生き方を考えたりする活動などを行う際、児童生徒が活動を記録し蓄積する教材などを活用することとしています。文部科学省では、児童生徒が自らの学習活動などの学びのプロセスを記述し振り返ることができるポートフォリオ的な教材「キャリア・パスポート」の例示資料などを作成し、本年3月すべての都道府県教育委員会などに周知したところであり、各地域・学校における実態に応じて柔軟な工夫を行うことが期待されています。

学校におけるキャリア教育の取り組みとして、職場体験・インターンシップなどの体験的な学習を効果的に活用し、地域社会や産業界と連携し、各教科・科目、道徳、総合的な学習(探究)の時間、特別活動など学校の教育活動全体を通じて、自分らしいあり方生き方を実現するための力の育成を行っています。

キャリア教育は、子どもに自らの将来の生活や社会、職業などとの関連を意識させ、キャリア発達を促すものであるため、多様な年齢・立場の人や社会・職業にかかわるさまざまな現場を通して、現在の自己の学習と将来の社会・職業生活との接続を意識させる体験的な学習の機会を確保することが不可欠です。「社会に開かれた教育課程」の理念のもと、幅広い地域住民や企業などと連携・協働が重要です。企業におかれても、職場体験活動・就業体験活動(インターンシップ)の受け入れなど、これからも子どもたちの教育活動に積極的にかかわっていただけますようお願いいたします。

文部科学省初等中等教育局 教育課程課

「中小企業家しんぶん」 2019年 12月 15日号より