新型コロナ 8割超が「影響あり」各同友会調査国へ緊急要望・提言、会長談話も発表【中同協】

 新型コロナウイルス感染症拡大により、中小企業への深刻な影響が広がってきています。2月末から北海道や広島同友会などで影響調査を行い、8割を超える会員に影響が出始めていることが明らかになっています。中同協では国の政策への緊急要望・提言を3月4日に提出し、6日には全会員に向けて「1社もつぶさない」と会長談話を発表しました。

緊急要望を省庁や国会議員に手渡し

 3月3~4日、中同協では「中小企業憲章・条例推進本部と政策委員会の合同会議」を開き、「中小企業の倒産・廃業を避けるために~新型コロナウイルスに関する緊急要望・提言」を検討し、作成。内容は、緊急融資や既存債務の返済猶予・凍結、雇用調整助成金の助成割合の引き上げや適用拡大、学校や公共施設の休業などにより突然の取引停止状態となった中小企業への補償など12項目にわたるもので、4日午後には国会の各党・会派や中小企業庁、厚生労働省に届けました。

 その後、総理と各党党首との懇談の中にも生かされ、国会でも議員発言に取り入れられるなどして、緊急融資や雇用調整助成金の適用拡大につながりました。

 6日には「1社もつぶさない! 知恵と力を出しあい、新型コロナウイルスによる危機を乗り切ろう」と題した会長談話を発表しました。

 談話には「雇用を守ろう」「1人で悩まないで」「悪徳商人にならない」の3点が盛り込まれており、リーマンショックや東日本大震災時の経験が生かされています。また、第1次オイルショックの際、「私たちは、便乗値上げ売りおしみなどの悪徳商人にはならない」との声明を発表した経験から、地域の暮らしや経済を守る担い手として全力をあげようと全会員に呼びかけています。

同友会で影響調査

 政府による学校休業の発表前後に、北海道や岩手、千葉、山梨、静岡、石川、広島などの同友会で新型コロナウイルスによる企業経営への影響調査が行われています。

 どの同友会の調査も「影響がある」「今後影響が出る可能性がある」を合わせて、8~9割に上り、日を追って影響が拡大しています。

 北海道ではイベント中止や来店客減による売上減が大きく、今後は消費の自粛や社員の出勤停止などによる影響が懸念されています。広島の調査では衛生用品の確保が最大の課題となっているという結果となっています。

各同友会で創意工夫した取り組み

 各同友会では経営環境改善へ向けた対応として、調査結果をもとに、自治体などとの懇談を進めています。緊急例会をオンラインで行ったり、行事が中止・延期になる中で、報告を動画配信などしているほか、東京同友会では衛生用品など支援物資への対応もしています。

 影響が長引き、拡大していく中で、同友会や地域でいかに対応していくか、大きな課題となっています。

「中小企業家しんぶん」 2020年 3月 15日号より