コロナ危機突破のカギは自社の「強み」の中にある【東京】

(株)テイ製作所の取り組みとコロナ対策室の伴走型支援の取り組み

 新型コロナウイルス感染症の蔓延で既存顧客の注文が激減、3月に最新の設備を導入した矢先に売上が3割以上落ち込む中で田中和江社長((株)テイ製作所)は悩んでいました 。

 経営指針成文化セミナーの卒業生でもある田中氏は「自社の理念と強み」を深掘りしてその活路を探りました。その中で飛沫防止のテーブルパーテーションの製造にこぎつけます。

 それを契機に田中氏は東京同友会のコロナ対策室の伴走型支援(各社の強みを生かして変化への対応を企画から実施まで応援。現在5社に実施中)に問い合わせました。

 東京同友会では即日同社を訪問、パーテーションの販路開拓のアドバイスをすると「紙の抜型加工の強み」を生かしたPCR検査ボックスの開発を提案、PCR検査実施を2週間後に控えた豊島区の行政の検査所への納入を勧めました。

 田中社長はその提案に開発を即断、連休初日にも関わらず幹部社員とともに連休返上で開発に着手、わずか10日間で試作機を完成させ、医師や検査職員の意見を反映させた1号機を検査開始日の前日に納品しました。

 本商品は東京同友会の実施したSTOP医療崩壊!医療機関支援活動で要望の多い支援品となり、その後、品川区に2基、東京都に8基と医療機関の現場に送られました。

 東京同友会コロナ対策室の伴走支援では、プレスリリースを使ってのPRや流通や販売網の構築に会員のネットワークを駆使して協力しました。また、同社の取引先の金融機関も同社の取り組みを応援しました。

 下町の小さな製造業の社員と経営者が一丸となったこの挑戦はNHK、テレビ朝日、TBSのテレビニュースで大きく取り上げられ、多くの注文が寄せられるようになりました。

 今後同社では、PCR検査BOXをフラッグとして同社の開発した多様な飛沫防止パーテーションの販売の拡大をめざしています。また、販売や流通などを同友会のメンバーで固めて取り組んでいく「連帯」モデルも今回の 特徴の1つとなっています。

「中小企業家しんぶん」 2020年 6月 25日号より