【実践 テレワーク】第5回(最終回) エンゲージメントの変化

(株)現場サポート 代表取締役福留 進一(鹿児島)

 近年新たな働き方として注目を集めているテレワーク。コロナ禍の働き方として定着しつつあります。新型コロナの前からテレワークを導入してきた(株)現場サポートの実践事例を全5回にわたり連載します。

エンゲージメントとは?

 会社に対する、愛着心・愛社精神・思い入れのことを「エンゲージメント」と言います。弊社では長年実施していたES調査をやめて、エンゲージメント調査を行っています。「職務」「自己成長」「健康」「支援」「人間関係」「承認」「理念戦略」「組織風土」「環境」についてスコアを付けています。

 テレワークを開始前の1月、3カ月・9カ月ほど経験した後の5月・11月のスコアを比較するとさまざまな変化に気づきます。

上昇した項目

 「職務」と「自己成長」は以前よりスコアが上昇しました。「職務」についてはやりがいと裁量、「自己成長」には達成感と成長機会の小項目があります。テレワークで思うように相談できず自らやるしかない状況が、よい方向に影響したのだろうと面談を通して推測しています。

維持している項目

 組織運営に関係する要素である、「理念戦略」「組織風土」「環境」は一貫して高い状態を維持しています。これらを高めるための手段である、社長勉強会・各種面談・朝礼など、テレワークでも手段を変えて継続しているためと考えています。

微妙に変化している項目

 「人間関係」は5月に若干下がったものの、その後持ち直しています。7月にワークスペースガイドラインを策定し、テレワークが特別なものでないことを宣言し、テレワークとオフィスワークをうまく調整しながら定着していることが影響していると考えています。

大きく変化している項目

 テレワークの影響として最も心配した「健康」のスコアは、5月に大幅に改善されました。通勤がなくなったことが主因であることは、間違いありません。しかしながら、11月の調査では元のスコアまで下がりました。運動不足による体重の増加だけでなく、仕事量についても起因していることがわかっており対策を検討しています。

 分析結果は、その会社の状況によって異なりますので、参考程度として捉えてください。大事なことは、環境変化による影響をファクトベースで捉えて、常に対策を講じることです。新型コロナウイルスの影響を、まったく異なる危機にも生かすための好機となるよう、頑張っていきましょう。

「中小企業家しんぶん」 2021年 1月 15日号より