陸前高田の復興の状況 岩手同友会代表理事 田村 満氏【岩手】

総会(第2日目)特別報告より

田村氏

全国の同友会の皆様への御礼と感謝

 3月11日の東日本大震災以来、全国の皆さまから支援物資や義援金、お見舞いの言葉などいただき、感謝の言葉しかありません。心より感謝申し上げます。同友会はあらためてすごい会だと思いました。避難されている方々にいち早く、支援物資を送ることができました。私どもの背中を押していただき、大変ありがとうございました。

 私はあらためて会員であることを誇りに思います。このたびの震災への支援活動で、地域に「同友会」という名前が広まりました。まだまだ、地域は苦しく、悲しんでいる人がたくさんいますが、この恩は決して忘れることはありません。

 さて、これから地域の復興にむけて、本格的に考えなければならないときがきています。陸前高田市の職員も津波により70名の方が亡くなりました。そのため、復興計画の策定も少し先延ばししているというのが現状です。しかしながら、私たちとしては、少しでも早く、陸前高田を復興させ、街を再生させる必要があります。そこで、これからの陸前高田の街のビジョン図をつくりました。私はこの津波の被害を受けた陸前高田という街を人類の教育のために活用できないかと考えています。

 陸前高田市の人口は震災発生前、2万数千人の街でした。津波によって約2000人の方が亡くなりました。市外に避難されている方や、雇用の関係で市外に行っている方などで数千人が陸前高田を離れざるを得ない状況です。私は、現在、陸前高田の人口は約1万5000人まで減少しているのではないかと考えています。このままで何もせずにいると、ますます人口減少が続くと考えられます。

陸前高田の復興に向けて

 震災以来、この状況をどう復興したらいいかと考えていました。津波によって犠牲になった方の命を繋ぎ、無駄にさせないためにも、津波の被害を受けた街をそのまま保存して、後世に語り継ぎ、なんとか世界遺産、遺跡として残せないかと考えています。街に「国連防災大学」(仮称)という新たな世界的な防災の教育機関をつくるなども考えています。

 津波の被害は甚大で、津波に対して怒りを感じている方もいます。しかし、私の考えは少し違います。私たち人類は今まで自然に逆らおうとして文明を築いてきました。今回の震災、津波はその代償だと感じています。ですから、震災の復旧・復興に関して、自然への畏敬(いけい)の念をあらためて確認するべきだと感じています。東日本大震災を討論するテレビの番組で、世界から見て、日本は尊敬に値する民族だということが結論として出ていました。私はこの日本の心、文化を大事にし、震災をバネにして、日本、世界に発信していき、すばらしい日本をつくっていきたいと思います。

 最後に、陸前高田には高田松原という7万本にも及ぶ、きれいな松原がありました。その1本が奇跡的に大津波に耐えました。これを復興のシンボルとして、さまざまな商品をつくりました。その収益を復興の基金としていきたいと考えています。皆さま、本当に感謝申し上げます。ありがとうございました。

「中小企業家しんぶん」 2011年 8月 5日号より