“元気な地域”へあふれる思い(支部長インタビューから)

 本紙で「支部長インタビュー」の連載が始まって2年が経過しました。これまで23人の支部長(地区会長)さんに登場いただきました。中間まとめ的に、インタビューから見えてきた、支部長や支部活動の共通項を整理してみました。

入会時は未熟な経営者

 多くの支部長さんが、同友会入会当時は、「経営の基本を勉強していなかった」と率直に振り返っています。それだけに「経営者はここまで真剣に学ぶのか」「初めてのグループ討論は新鮮だった」など同友会との出合いは強烈だったようです。

 逆に「初めての例会は、知った人同士ばかりが仲良くしていて、雰囲気は良くなかった」という思いをもった支部長さんもおり、運営上、気をつけたいことです。

 また、入会前に例会報告者をつとめ、核心を突いた多くの質問に「これは油断のならない会だ」と感心して入会した、との話もありました。入会いただきたい方に入ってもらう上で、報告者をお願いすることは有効な手立てであることを示しています。

学んだことの共通点は経営理念と社員との関係

 支部長の皆さんが、入会前と変わった点として共通して挙げているのは、経営理念の確立と社員との信頼関係づくりです。

 「人より儲けて、いい家を建てたい」という個人的な動機による経営から、「何のための経営か、だれのための仕事なのか」を追求するようになり、「お客様が真に納得する仕事ができるようになった」との経験に代表されるように、同友会での学びで「企業の社会性を自覚」したという方が目立ちました。

 また、「会社を私物化していたワンマンの典型であり、自分の意思は社員に押し付けるが社員の意見を聞こうとしなかったが、同友会のおかげで自分を見つめ直すことができた」など、パートナーとしての社員と育ち合う関係をつくることで強い企業を築いたというケースが多く見受けられました。

地域に責任を持つ支部活動へ

 支部活動で重視されていることは、例会の充実は言うまでもないことですが、経営指針づくりに力点をおいていることと、同友会らしい学び方に絶えず立ち返るよう努めていることです。

 中学生職場体験学習、高校インターンシップ、学校評議員就任、市の経済振興懇談会への参加など学校、研究機関、行政との連携で町おこし、地域づくりに貢献する支部が増えてきています。

 役員会の運営では、役員自身の経営体験報告と、それに基づく討論を行い、役員の役割を運営だけにしないことや、役員が2人1組になって全会員を訪問するなど、さまざまな工夫と努力が行われています。

思いを実現できる任期に

 各支部長さんは、地域の元気を取り戻すために「同友会の理念を地域に広げていきたい」という強い思いにあふれていました。その思いを実現するには「1、2年の任期ではとても十分な活動はできない」という意見も聞かれ、腰をすえて支部活動が行えるよう、機械的な任期制、輪番制は採らない仕組みが必要です。

 「勇気づけられる組織、心が通い合う組織でありたい、男性はまだまだ率直に語ってはいない」との女性支部長の指摘は傾聴に値します。女性会員、女性役員の比重を高めたいところです。

 4月以降も全国の支部長さんが登場します。

(記/中同協事務局長・蓮見成男)

「中小企業家しんぶん」 2004年 3月 15日号より