支部コンセプトは「企業家精神に乾杯」 富士支部(静岡) 富士支部長 佐野 譲二氏((株)和泉運送社長)

―富士地域の特徴は。

佐野 かつて、田子の浦のヘドロで有名だったように製紙業と、自動車、化学薬品などの製造業を中心に、製造出荷額3位の静岡県にあって、浜松と並んで製造業の盛んな地域です。また北斎の版画にあるように、ここからの富士山の眺めは最高です。

―同友会入会のきっかけは。

佐野 入会は27年前。大学の先輩が東京同友会の会員でいきなり「総会議案を読め」といわれ、こんなことを考えている会があるのかと県の事務所に行き「入れて下さい」と、27歳で入会しました。

 そのころはオヤジが社長でしたが、しばらくして労働組合が結成されました。オイルショック以降の業績が悪い中での組合結成で、3年ぐらいガタガタしました。親父は社長を辞めたいというし、当時専務だったいとこが辞めて新会社を設立したり。その頃「労使見解」に出合いました。

―同友会で学ばれたことは。

佐野 組合ができたころは、経営者になる腹が固まっていませんでした。「カネ、カネ」という組合に対して不信感を持っていた私に、「労使見解」は経営者の経営責任や社員とのコミュニケーションの重要性を教えてくれました。また、会社が行き詰まっていたとき、先輩経営者から「佐野さん、ものを運ぶ仕事はいつの時代でも必要だし、なくならないよ」との励ましの言葉をかけてもらいました。当社の社是「ふんわりと&しっかりと」も、北海道同友会の大久保さんの言葉にヒントを得たものです。

 今は、ギクシャクした労使関係はなくなっています。労組があって良かったのか悪かったのか分かりませんが、少なくとも経営者に対して正面から経営について真剣に悩んでくれる労働組合は、ありがたい存在だと思えるようになりました。

―支部活動についてお聞かせください。

佐野 2002年から組織体制の見直しを含め、例会の充実に力を入れてきました。最低30名は集まる例会をと、例会企画も支部三役を中心に、多面的な会員のニーズにこたえられるようにして、71名まで会勢も増えてきました。

 年1回行う「同友会まつり」は、市民も楽しみにしてくれていて、2000人ほど集まりますが、支部の7割以上の会員が手伝ってくれています。

―今後の抱負を。

佐野 支部活動のメリットを実感してもらうためにも3カ年計画で100名会員をめざします。今年の支部コンセプトは「企業家精神に乾杯」というものです。「中小企業憲章」が提起されている中、中小企業家の努力が正当に評価される時代を迎えようとしています。それが実感できる会活動にしたいものです。

▼富士支部の概要
設立 1994年
会員数 71名
役員数 17名
対象地域 富士市、富士川町(人口25万4000人、企業数3452社)

「中小企業家しんぶん」 2004年 6月 15日号より