緊急金融施策

緊急保証制度

 政府は、「緊急保証制度」を10月から開始しました。

 本制度は、「最近3カ月間の平均売上高等が前年同期比マイナス3%以上の中小企業者」などの要件があり、対象業種は現在、698業種。金融機関から融資を受ける際に一般保証とは別枠で、 無担保保証で8000万円、普通保証で2億円まで信用保証協会の100%保証を受けることができます。今後、業種を細かく指定しないで全業種に適用するなど、さらに拡充することが求められています。

予約保証制度を創設

 また、11月には「予約保証制度」を創設したことも注目されます。中小企業の将来の資金需要にこたえ、迅速な資金調達を支援することが目的で、 あらかじめ金融機関及び信用保証協会の審査を受け、将来の保証付き融資の予約を行うことを可能とする制度。いざという時の資金需要に対応した迅速な資金調達(即日又は翌日)が可能となります。ただし、通常の保証料率に0・2%程度の保証料が上乗せされます。東京信用保証協会の事例では、貸付限度額は2000万円で保証期間は5年以内としています(変更可能性あり)。

中小企業向け融資の貸出条件を緩和

 さらに、金融庁は11月、金融検査マニュアル等を改定し、中小企業向け融資の貸出条件を緩和しても、不良債権にならない取り扱いを拡充。条件緩和(返済条件の変更)とは、金利の引き下げや金利・元本の支払い猶予、返済期限の延長、債権放棄など、借り手に有利な取り決めをすることです。

 従来は、3年以内に経営が健全化するような「経営改善計画」等が必要でしたが、経営が健全化するまでの期間を大幅に延長(原則5年、進捗状況が良好な場合10年まで)。「経営改善計画」を作っていない場合も、今後、経営改善の見通しがあれば、計画がある場合と同じように取り扱うなどとしています。

 これにより金融機関は、従来は不良債権として開示しなければならなかったものが正常債権となり、引当率も低く抑えられるようになります。中小企業にとっては、追加融資の可能性が広がることになります。

「中小企業家しんぶん」 2008年 12月 15日号より