医療崩壊は町ぐるみで食い止める~医療支援組織「医良同友」が発足【北海道・別海地区会】

 地域の医療崩壊を食い止めたいと、北海道東部の酪農の町、別海町に医療支援組織「医良同友(いいどうゆう)」が発足しました。これは、北海道同友会南しれとこ支部別海地区会(寺井範男会長)と別海町立病院の医師やスタッフ、町民による組織で、11月29日に設立総会が開かれました。

 11月29日、医療支援組織「医良同友」の設立総会には、同友会会員、別海町立病院の医師や医療スタッフ、趣旨に賛同した町民など140名が参加しました。

 医師不足など地方の医療崩壊が広がる中、地元企業の経営者として何とかしたいと立ちあがった別海地区会。寺井会長は、次のように話します。

 「地域経済と企業経営の持続的発展には、医療サービスを確保して従業員を含む地域住民の健康を守ることが必須課題です。医療問題は行政に頼るばかりではなく、民間も積極的に協力していくというのが医良同友の基本理念。こうした運動の広がりが全国の地域医療の問題解決に役立つことができれば」。

 別海町の人口は1万6000人。今年4月には中小企業振興基本条例が施行されました。別海地区会の会員数は68社、組織率は28%に上ります。医良同友には、12月現在で約300人の町民が登録しています。

 医良同友発足の背景には、地方勤務医の厳しい労働環境に起因する医師不足があります。過労で体調を崩した医師が地方を離れる事例が増える中、医師の負担を軽減するための取り組みや、医師とその家族が地域と住民に愛着を持って定着できるような地域ぐるみの交流会の開催など、将来的には医師を呼び込める町づくりをしていくことが目的です。

 設立総会であいさつに立った町立別海病院の西村院長は、「今まで町民の皆さんとの交流は診察以外ほとんどなかった。このような機会は大変ありがたい。町民がこの町で一生を送れるような病院体制を築くために頑張るので、応援してほしい」と語りました。

「中小企業家しんぶん」 2009年 12月 25日号より