地域の未来を共に切り拓こう―全国の合同企業説明会に約1万3300名が参加

 各同友会で合同企業説明会が開催されています。今年1月から6月までに21同友会で計48回開催し、1万3296名の学生が参加(6月28日現在)。1 回あたりの平均学生数は昨年同時期を約4割上回っています。東北各県共催で行われた宮城同友会と、過去最高の参加企業・学生で開催された岩手同友会の取り組みを紹介します。

東北が一体となって―東北各県同友会共催で合同説明会【宮城】

 6月9日、宮城同友会主催、東北各県同友会共催による「宮城Jobway・第2回合同企業説明会~東北各県同友会共催~」を開催しました。37社(宮城27社・東北各県10社)が参加し、236名(大学生112名・短大生14名・専門学校生110名)の学生が来場しました。

 今回の取り組みは、2月に開催した「東北合同企業説明会準備例会」の場で、(1)地域の雇用を支える三位一体(経営指針・共同求人・社員共育)の企業づくりを推し進めること、(2)宮城県の東北各県から多くの学生が集まる地域特性から“地域に若者を残す運動”の視点に立ち、Uターン希望の学生と地元中小企業の出会いの場の必要性、の開催主旨を確認し、東北各県同友会の協力のもと実現のはこびとなりました。

 当日は「東北各県同友会ブース(Uターン相談コーナー)」と「東北各県参加企業ブース(会員企業)」を設置し、多くの学生と語り合いました。反省会の中で参加企業からは主に以下の共通した感想が出されました。

 (1)「地元に戻り働きたい」と語る学生と接し、地元中小企業の役割や働くことの喜びを伝えること、雇用できる会社をつくっていく必要性を感じた。地元で三位一体の企業づくりを推し進める企業を1社でも増やしていきたい。

 (2)初の東北全体の取り組みだが継続が重要。宮城だけの問題ではなく、各県同友会の活動を基礎に東北が一体となって情報共有をしながら取り組む必要がある。

(例)宮城県南出身の学生が福島県まで就職範囲であることを話していた。

 (3)東北各県参加企業同士がお互いにレベルアップしていく場の必要性を感じた。この場をきっかけに地元に戻って共同求人活動を推し進めたい。

 中・長期的視点では確実に就業人口が少なくなる時代に、東北が一体となり一歩を踏み出したことは大きな成果です。地元に戻り1社1社が地域の雇用を支える企業づくりを推し進めることを確認した説明会となりました。

地域全体にひろがる輪―過去最高の参加企業、学生【岩手】

岩手合同説明会

 5月11日、岩手同友会の2010合同企業説明会がいわて県民情報交流センターアイーナで開催されました。6年前、たった5社の参加からスタートした合同企業説明会でしたが、今年はこれまでで最大の23社が参加。学生の来場者も昨年より100人以上多い230名という過去最高の参加で会場は熱気に包まれました。

 その背景には委員会での深い関わり合いがあります。共同求人委員会では、社員共育委員会と合同で「何のための共同求人なのか」をテーマに議論を続けてきました。そして地域に若者が残るためには何が必要か、新卒者を毎年採用し続けられる企業づくりのためには経営指針の実践こそ、など課題を確認しながら進めてきました。

 県内の大学、短大、専門学校訪問では、各就職担当の方々に共同求人の趣旨を伝え、このままでは地域そのものの存在が失われる危機であること、地域に根付く中小企業として1人でも多くの学生を迎えたい思いがあることなど、自身の考え、体験を熱意を込めて伝えてきました。

 こうした6年間の継続した活動の結果として、地域全体に共同求人の輪が広がり、以前よりも遙かに多い学生が地元中小企業に興味を持つようになりました。

東日本機電開発(株)水戸谷剛社長からは、「地域の事業所の9割は中小企業ですが、残念ながら学生の皆さんには知られていない。中小企業は地域と共に発展する存在。われわれ中小企業は小さくても新しい仕事を無数につくり出していこうと日々努力をしている。だからこそやりがいもある。私たちも皆さんに熱く経営理念を語ります。学生の皆さんもぜひ思いの丈を全力でぶつけてください。そんな人を企業は待っています」とエールがありました。

 参加した学生からは「中小企業の経営者がこんなに熱い人たちだと思わなかった」「大企業にはない魅力を感じた」「大好きな地元の顔の見える企業で、人とのつながりを大事にしながら、ぬくもりのある家庭を築きたいと思った」など、初めて中小企業の経営者に直接触れ、地域で働くことへの思いを新たにした学生の声が聞かれました。

 ブースに座った経営者からは「地元に残りたい学生がたくさんいる。目を輝かせて興味を持ってくれた」「今後の岩手の展望を切り拓くために、われわれ1社1社が1人でも多くの若者を採用し、共に育ち合っていく以外にない。地域の未来のために来年はさらに大きな広がりを」などあらためて決意した説明会となりました。

「中小企業家しんぶん」 2010年 7月 5日号より