【経済データを読む】水データを読む

 新興国の成長と世界人口の増加で、資源とエネルギーが取り合いとなっています。経済成長戦略の1つに水ビジネスが取り上げられていますが、水をビジネスとしてだけで見ていいのか、考える必要があります。

 2007年と2008年の飲料水の売り上げを見れば、お茶系飲料は8,446億円から8,553億円の1%増に対して、ミネラルウォーターは 2,613億円から2,900億円と11%増となっており、成長分野であるのは事実です。ただ、このうちフランスや米国からの輸入水が20%もあります。地元においしい水のある地域でも、輸入水が売られているのです。

 地球の水約14億立方キロメートルのうち、人類が使用できる淡水源(浅地下水、河川水等)は約0.001億立方キロメートルにすぎません(表参照)。安全な水を継続利用できない人口は約9億人で、水と衛生施設不足で毎年約180万人の子どもが死亡しています。人間が使える量は、すでに限界を超えているといっていい状態です。

 日本の食料自給率が40%と発表されました。牛1頭育てる牧草のために水が6,000トンいると言われていますが、水環境戦略タスクフォース報告(環境省)でも「農作物、畜産物などの形で海外から日本に輸入されたバーチャルウォーター(仮想水)は年間約800億立方メートル(2005年)にものぼっている。これは日本で1年間に使用される生活用水、工業用水、農業用水を合わせた水量とほぼ同程度であり、我が国が必要な水の概ね半分の水を海外に依存している」と指摘しています。

 資源爆食のBRICsの成長を見れば、日本の水に対する意識を変え、もっと水の大切さを生かしていく取り組みを始めないと、食物が食べられない時代がくるのはそう遅くないと思えるデータです。

表:地球上の水の量

※詳しくは国土交通省「平成22年度版日本の水資源」参照。
http://www.mlit.go.jp/tochimizushigen/mizsei/tochimizushigen_mizsei_tk1_000030.html

「中小企業家しんぶん」 2010年 8月 25日号より