自分の人生、自分で学び、自分でレールをひいていく~高校3年生に就職課外授業―5つの高校から36名が参加【岩手】

何のために生きるのか自分の頭で考えよう

就職課外授業

 岩手同友会共同求人社員共育委員会では、今年2回目の高校3年生就職課外授業を行いました(盛岡市高校生スキルアップ支援事業)。当日は盛岡市内5つの高校から36名が盛岡市勤労福祉会館に集い、一人ひとりが自分の人生と正面から向き合う2日間を過ごしました。

 この就職課外授業は、2007年から同友会と盛岡市との取り組みで始まり、盛岡市立高校就職志望の3年生を対象に夏期休暇を利用して行ってきました。テーマは一貫して、(1)何のために生きるのか、何のために働くのか一生懸命自分の頭で考える (2)自分の人生設計図、夢を具体的に描いてみる、の 2つです。

 経営者や先輩社員の生の体験談を聞き、グループ討論で自分の意見を出し合います。これまでの18年間、人生設計や未来について考え、創造する機会が少ない生徒にとっては、自分と真剣に向き合い格闘する初めての時間となります。

 今回、経営者からのメッセージは、信幸プロテック(株)社長の村松幸雄氏。村松氏は、自社で全社員が毎年書き直し、経営指針に綴じている「私の 10年ビジョン」のシートをもとに、自分がどんな夢を描くか、その夢を実現するために何をするのか、生徒一人ひとりに問いかけました。

 つづいて、入社2年目の東日本機電開発(株)社員の畑山淳氏が、入社してこの2年の自分の変化をありのままに話しました。「私には将来、車を作るという夢があります」と、みずみずしく22歳の若者らしく話す姿に、生徒の目が輝いてきます。「なぜその仕事をしようと思ったのですか。やっていて楽しいですか」。畑山さんへの質問も直球勝負です。1つ1つに畑山さんは丁寧に答えていきます。

経営者と高校生が思いをぶつけ合う模擬面接

 午後から行われた面接マナー研修でも「何のためのマナーなのか」を中心に、実践を交えながら3時間かけて学びました。

 マナーとは自分の生き方そのものであること、そして採用試験に受かるための面接ではなく、自分の持ち味を思う存分に発揮するための面接練習など、また何のために働くのか、自分の夢を実現するための求人票の見方など、ここでも「自分自身の脳みそで、自分の人生を考える」ことを主にした講義が行われました。

 2日目は、12名の経営者が参加しての面接模擬練習。午前中3時間は1人の経営者と2~3名の生徒が1つのチームになってじっくりと互いに話を聞き合い、午後からは、チームを変えて面接での質問に慣れる練習をしました。

 経営者も自分の人生を存分に語れる機会です。高校生にとっては、普段では聞けない体験談をじっくりと直接聞けるチャンスです。初めて経営者と話す生徒がほとんどで、最初は緊張した表情でしたが、互いに思いをぶつけ、理解し合える貴重な時間となりました。

私たちのいいところを引き出してくれた

 参加した生徒からは、次のような感想が寄せられました。

 「『自分の人生なんだから、自分で学び、レールを自分でひいていく』、この言葉がとても胸に刻まれた2日間でした」(女性)。

 「今まで失敗を恐れ、新しいこと、難しいことにはなかなか挑戦しようとは思いませんでしたが、失敗は恐れることではないとわかり、これからはたくさんのことに挑戦していきたいと思いました。面接練習ではものすごく緊張しましたが、経営者の方にすごくほめられて、自信につながりました」(男性)。

 「今回改めて詳しく自分を見つめ、人生設計をしてみて、もっともっと働いてみたいという気持ちが増しました。そして幸せな将来のために、私たちのいいところを引き出してくださった経営者の方々に感謝申し上げます」(女性)。

「中小企業家しんぶん」 2010年 9月 15日号より