会員の悩みに応える「支援例会」―支部内の仲間意識も強まる【京都】

【変革と挑戦―各同友会の実践事例から】14

 各同友会の実践事例を紹介する「変革と挑戦」シリーズ。今回は、京都同友会左京支部の「支援例会」の取り組みについて紹介します。

 「工務店より『幸夢店』というネーミングの方が夢があっていいよね」とは、京都同友会左京支部例会での報告者へのアドバイスの1コマ。

 同支部では新しい例会スタイルとして、昨年度より会員企業の「支援例会」を開催しています。報告者は自社の現状から抱えている悩み、これからの希望、参加者に討論してほしい課題などを報告します。それを受け、参加者はグループ討論で報告者の企業をより良くするために知恵やアドバイスを出し合うといったものです。

 「会員の悩みにもっと応えたい」「会員企業にもっと役立つ例会はできないか」「経営指針成文化に取り組む前に、もっと自社を見つめ直すことが必要」。そうした意見の中、この支援例会が考案されました。

 この例会を経て、京都同友会主催の「人を生かす経営」実践道場に参加し経営指針成文化に取り組む企業も出ました。社員と共に報告に臨んだ企業では、「社長の思いがよく分かった」と社内のコミュニケーションが良くなったといいます。

 グループ討論では、「経営者としてビジョンを社員に指し示していない」「社員の成長を望みながら任せきれていない」など厳しい意見も出る一方、「商品知識の豊富さは他にない強み、それをもっとユーザーに発信したら」など励ましの意見も出ます。グループ発表では、報告者の問題点を「指摘」するのではなく、報告者が「気づく」ような発表を心がけています。

 参加した会員は報告者へアドバイスをしながら、それを自身の鏡として自社を振り返って考えます。例会アンケートでは「経営者としての仕事と責任を改めて思った」「理念を整理していくのに自分のやりたいことは何なのかをもっと考えていきたい」といった感想が出されています。

 こうした例会を通じて支部の雰囲気が変わってきました。仲間の企業のことを知り、考えることで、「共に手を携えて成長していこう」という仲間意識が強くなってきました。

 この9月には前年に報告をした会員数名が再度登壇します。1年を経て課題はどこまで進んだのか検証するためのフォローアップ支援例会を開催する予定です。

「中小企業家しんぶん」 2011年 9月 5日号より