Ⅴ 付加価値を高める (1)製品やサービスの企画・設計について

【社員とともにめざす企業像へ変革を~企業変革支援プログラム ステップ2】20

 企業変革支援プログラムステップ1の全国のデータを集約すると、「Ⅴ.付加価値を高める」カテゴリーで課題を抱える会員企業が多いことが明確になりました。理念経営を進める中で新商品開発や商品の付加価値を高めることが2の次になっているのかも知れません。確かに理念経営は大切ですが、商品(製品やサービス)に反映されて初めて成果に結びつくので、経営理念の成文化に始まり、経営理念を全社で実践する仕組みをつくり、社員の創意や意識を高め、市場の状況と顧客ニーズを把握し、商品の付加価値を高めていく一連の経営努力が必要です。

顧客目線と顧客ニーズ

 商品が売れるということは顧客の要求にあっているからであり、どんなに低価格、高品質、短納期な商品づくりに努力しても、それが顧客の要求・ニーズに合っていなければ売れないことになります。

 つまり新商品開発や既存商品の改善を行う場合、顧客目線で商品を企画・設計しないと失敗することになります。

 そのためには「Ⅳ―(1)市場・顧客の変化と顧客ニーズの把握」を顧客目線・顧客の立場でしっかりと確認しておくことが大切です。

固定観念を捨てる

 コロンブスの卵の例を持ち出すまでもなく、新しいことをするには人並み外れた知識と発想力が必要なのではありません。

 新しくつくろうとするもの・ことに既存のイメージを先に浮かべてしまったり、「それは無理」「しても無駄」「誰かしている」といった否定的な見方や考え方が障壁になっている場合が多いのです。

 とにかく既成概念や固定観念を捨て去り、顧客目線で考える、自由に発想して、試してみて、工夫してみましょう。

全社で取り組む

 企業変革支援プログラムでは、全社で変革に取り組む仕組みをつくることを要求しています。市場や顧客のニーズに応えられる商品づくりにも、経営者や開発担当者だけではなく会社全体で取り組みます。

 商品の企画・設計の手順を決めて仕組みにすると同時に、顧客の立場でも物事を見ることができ、自分の思いに固執することなく内外の意見やアドバイスを聞ける寛容さを持った社員で満ちていて、自由な発想をぶつけ合い、互いに意思疎通が図れるなら、顧客ニーズ以上の価値を持った商品が生み出されるでしょう。

関西金属工業(株) 代表取締役 美馬 徹(大阪)
中同協企業変革支援プログラム検討ブロジェクト委員

「中小企業家しんぶん」 2013年 3月 15日号より