アベノミクスをデータで確認すると

 トヨタが利益1兆円回復、アベノミクス効果で先行き明るいとの報道がマスコミでなされる一方で、同友会景況調査報告(DOR)1~3月期調査結果では「アベノミクス効果中小に及ばず 円安先行で採算伸び悩み」との結果がでました。その結果を参議院予算委員会で生活の党のはたともこ氏が国会質問に使用し、また日本経済新聞にDORデータが掲載されるなど注目を浴びています。実際に最近のデータからアベノミクスの影響を見てみます(表)。

 日経平均株価は12年10月から13年5月8日までに61%上昇、ドル・円レートは昨年10月の79円から5月8日で98.8円と25%下落の円安になっています。それに対し、輸出は1月6.3%増も2月2.9%減と円安効果がまだ現れていません。輸出と連動の高い鉱工業生産でも3月に0.2%増と弱い状況です。輸入では3月輸入物価指数(前年比)は契約通貨ベースで2.6%減でしたが、円安で10.8%増となり結果的に円ベースでは8.2%価格上昇になっています。

 さらに消費関連で言えば、3月スーパー売上高1.7%増、コンビニ売上高が0.4%減、1~3月電子部品が8.3%増、12年度民生用電子機器は42.5%減とまだらです。3月家計調査では「消費支出31万6166円と前年同期比5.2%増」と発表。12年度住宅着工は「6.2%増89万戸に、3月まで7カ月増」、4月新車販売が「1.5%増36万5165台と8カ月ぶり増加」、4月百貨店売上速報では「3社増加も2社減と2カ月5社増から減速、高額品は好調」と高額品のみ伸びる一方で、3月商業販売は「1.2%減、小売0.3%減、卸1.5%減」と落ち込んでいます。また、3月毎月勤労統計調査では「所定内給与0.8%減24万1922円と10カ月減。現金給与総額0.6%減27万5746円と2カ月減」と消費者の状況は変わらず厳しいです。メリット・デメリット両面のデータです。

「中小企業家しんぶん」 2013年 5月 25日号より