建設業の人手不足・職人不足は続く

 国土交通省が人手不足で公共工事の労務単価を今年の2月から7.1%引き上げました。しかし、同友会景況調査(DOR)結果では建設業の人手不足感DI-64.7と大幅な不足状況です。この背景には建設投資額の減少に伴う建設業就業者数の減少があります。建設投資額は、1992年度の84兆円をピークに減少基調となり、2010年度には42兆円程度になりました。2011年の東日本大震災の復旧から46.5兆円と増加に転じていますが、2012年45兆円、2013年度 50兆円と増加はしていてもピーク比の41%減です。

 建設業就業者数は投資額から5年遅れて1997年がピークで685万人、そこから2011年は497万人と188万人減(27%減)。さらに技能労働者などは455万人から 316万人と 139万人減(31%減)となっています(表1)。学卒者の建設業への就業者推移でみても、復興と消費税の駆け込み需要からの人手不足で少し戻していますがピークの97年比で2011年では44.1%減と裏づけられます(表2)。さらに1995年から2010年の15年間で、大工は47.8%減少、土木工は44.2%減少。そして将来の建設業技能労働者数の推計によれば、2011年316万人が2030年には213万人に減少と予想されています。これは建設業就業者が、55歳以上が約33%、29歳以下が約12%と高齢化が進行しており、建設業の入職率は低下傾向にあること。特に24歳以下の若年入職者が減少、就業者数の減少より入職者数の減少が大きいこと(92年比11年で51%減)と技能労働者の23%減に比べ技術者の人材となる理工系入職者の減少幅(高校理工系では02年12,009人が11年7,248人と40%減)が大きいことによります。

 国内インフラ維持補修で13年3兆6000億円、20年後には4.6兆円~5.5兆円と拡大予想されていますが、投資が少し増えても技能者不足は続くことになります。

表1 建設投資と就業者推移 ・ 表2 建設業への学生就職者推移

「中小企業家しんぶん」 2014年 3月 25日号より