中小企業で働く魅力を発信 共同求人活動の再構築に向けて【長野】

【変革と挑戦―各同友会の実践事例から】38

 長野同友会では、インターネット上から就職情報を得て、直接企業にエントリーする仕組みが定着したことも大きく影響し、学生の合同企業説明会への参加者数が大幅に減少。この間、従来の共同求人活動のスタイルの見直しに取り組みました。

 2009年度以降は、懇談会やインターンシップ活動、社員教育活動での連携などを通して、各教育機関とのパイプづくりと関係強化に注力しました。

 信州大学とは、以前全学部を対象とした「現代職業概論」で、社会観・職業観を高める機会として、会員経営者が講師を担当しました。昨年は理学部と初めて懇談会を実施し、理学部で行われた就職説明会には、新卒採用を検討している会員企業の紹介コーナーを設けました。

 長野大学とは、2学年生を対象とした「組織キャリア論」に、会員企業の若手社員を講師派遣する取り組みを継続しています。学生と年齢が近い若手社員の実体験から、中小企業での働きがい・やりがいを発信する機会となっています。

 松本大学とは、「若手社員フォローアップ研修会」などの社員教育活動での連携を通して、教官・就職担当者に同友会の理念や性格を理解してもらいながら、関係構築を図っています。

 長野高専とは、年3回「地域活性化研究会」を共催し、会員企業との情報交換と経験交流の場を継続実施していると同時に、ここ数年はインターンシップ活動での連携も進みつつあります。

 長野同友会では、これまでの積み重ねをより攻勢的に展開すべく、新たな試みとして中小企業で働くことの魅力を学生に直接発信し、中小企業の認識度を高める場を設けていく予定です。

 学生と直接接する機会を設けることで、経営者目線で一方的に考えるのではなく、学生側からみて働きたいと思う企業像からも謙虚に学ぶ機会とも捉えています。

 今年3月には「長野県中小企業振興条例」が施行され、地域の中小企業、同友会に対する期待が一層高まってきています。一方で、若者にとって魅力ある企業像と実態とのギャップが克服課題であり続けています。

 今こそ『労使見解』の精神に立ち返り、特に労働環境整備や中小企業の真の価値を発信することの重要性が高まっています。加えて、中小企業は地域の暮らしと雇用を守っており、大学等々のみならず、再度各地域の高校などとの連携強化も求められています。

 一時期休止していたJobway(同友会の学生向け就職情報サイト)も掲載を再開。Jobwayの意義を再確認しつつ参加促進を進めるなど、具体的な活動を通じて、企業体質強化と魅力・価値向上につながる共同求人活動に努めていく方針です。

「中小企業家しんぶん」 2014年 5月 5日号より