【新・わかりやすい中小企業振興基本条例Q&A】 第4回

Q 中小企業振興基本条例の制定・活用がどのような成果をもたらしますか。

A 第1に、中小企業施策が前進することです。

 条例を根拠として総合的施策が継続的に展開されるとともに、地域の個性にあった中小企業施策を構築することが可能になります。自治体の中小企業施策が条例制定を機に、産業振興ビジョンの作成や施策の体系化が進められるとともに、施策の進捗状況や効果が客観的に評価されるようになります。

 第2に、地域産業政策の新たな発展が可能になること。

 それぞれの地域の産業の特性や強み弱み、産業集積の状況が自覚され、それを活かす産業政策が執られるようになります。「地域の宝もの」の発見につなげることが可能になるとともに、地域産業政策の各論的な進化も期待できます。

 第3に、地元中小企業の現場目線での実態把握が進むことです。

 条例に基づき、地域の中小企業者・産業団体などから現場の意見を聴取したり、産業振興会議など恒常的な会議体を設け、政策・施策への中小企業の意見の反映ができる条件を整備することが可能になります。

 商店街や全事業者を対象とした実態調査、地域産業連関分析などを行うことにより、政策立案や施策実施に具体的に生かすことができるようになることです。

 第4に、自治体関係者の中小企業に対する意識の変化を促し、全庁的な取り組みが期待できるようになること。

 例えば、横浜市の場合、中小企業振興推進会議を設置し、3人の副市長が会長・副会長となり、幹事会では経済局中小企業振興部担当部長が幹事長として、政策局や財政局、市民局の部長級が推進する体制を執っています。

 第5に、地元の産業人・中小企業者の連携・協力が拡大し、次世代の産業人を育成することです。

 これまでは地元の産業人の当事者意識がいまひとつだった地域経済活性化に対して地域全体が一丸となって取り組むきっかけにすることができます。条例制定や産業振興会議などを通じて、地元の産業人・中小企業者が地域経済の発展を一緒に考える機会が増え、地域でのヨコでの連携・協力が進むことが期待されます。

 条例は、地域の産業関係者が一堂に会することが可能な参加型の政策立案・協同による地域づくりを進めることができ、次世代の産業の担い手の育成も進むことが期待できます。

「中小企業家しんぶん」 2014年 10月 5日号より