【エネルギーシフトに挑戦!】 第2回 愛媛県内子町
国産森林資源の熱利用
「ペレットストーブのゆらゆらとした炎を見ていると癒されます」「ストーブ自体は高いけど、灯油が高くなってきたので、5年も使えば回収できます」。国産のペレットストーブが10万円台で流通するようになり、国内森林資源の熱利用が広がってきています。
面積の8割が森林という愛媛県内子町で、木質ペレットの熱利用が始まったのは、2005年の3町合併後のことでした。いまでは農業ハウスや小中学校の暖房にもペレットボイラーが導入され、内子の未利用材を使ったペレットが、町を暖めています。
林野庁も13年4月~14年9月に国産材の需要を喚起する「木材利用ポイント事業」を実施。木質ペレットストーブも対象に最大10万ポイントを付与するなど、ペレット事業に追い風となりました。
バイオマスタウン構想
内子町では人口の3人に1人が65歳以上の高齢者で、人口減少と高齢化が進む中、「重要伝統的建造物郡保存地域」に選定された「木蝋と白壁の町」による観光振興や、地域内資源の活用で地域内にお金が回る仕組みづくりを進めてきました。
2006年に町民への環境意識のアンケートが実施され、実態を把握した上で、町民代表者16名からなる環境基本計画策定委員会が、「自然・暮らし・環境教育」の3つを柱とした「環境基本計画」(2008~15年)を策定。
この計画にもとづいて「バイオマスタウン構想」を含め30の取り組みが進められており、毎年「環境報告書」として実施状況を発表しています。
*「バイオマス」とは「生物資源」のこと。
いまでは、町並みから村並みへ、「エコロジータウンうちこ」をキャッチフレーズとし、農村景観保全や「道の駅」での農産物の直売、農村民泊などをすすめています。
計画を実行するのは誰か
「バイオマスタウン構想」は「森のプロジェクト」「畑のプロジェクト」「まちのプロジェクト」で構成されています。
「森のプロジェクト」では木質ペレット製造と利用設備の整備によるエネルギーの自給と竹の飼料化を。
「畑のプロジェクト」では家庭の生ごみと畜ふんを原料とした堆肥を生産し、土壌改良。「まちのプロジェクト」では廃食油の回収と菜の花栽培、BDF(廃食油のバイオディーゼルエンジン用燃料)の製造・利用などに取り組んでいます。
しかし、最初の段階では木質ペレット活用は計画されているものの、肝心な地元産材からペレットを作る仕組みが盛り込まれていませんでした。
(次号に続く)
「中小企業家しんぶん」 2015年 1月 5日号より