エンゲル係数上昇と消費税

 2014年のエンゲル係数について「24.3%と21年ぶりの高水準、家計のゆとり低下、消費増税による支出抑制で、生活水準低くなる。14年度月平均消費支出28.8万円と 2%減に対し食料品支出は1%増の7万円」と報道されました。1995年から23%台が続いてきたものが93年と同じ24.3%に逆戻りしました(図)。消費増税と物価上昇の影響が大きかったことがわかります。エンゲル係数は「消費支出」に占める「食料品」の割合を表します。生活が苦しくなるほど上昇する傾向を見せますが、2005年を底値に少しずつ値を積み増しています。 今回の上昇と過去の消費税との関係で見ると、1989年の消費税3%導入のときは翌年のみ上昇、1997年の5%引き上げの時も翌年のみ上昇でした。円安による輸入物価上昇が食料品価格を押し上げていることも原因ですが、今回の上昇の影響は別に考える必要があります。1つは高齢化率がずっと右肩上がりに上昇しており、エンゲル係数が元々高くならざるを得ない高齢層(65歳以上人口割合)の比率が増加しているのが大きな要因です。もう1つは所得格差が拡大し貧困化が進んでいる影響です。2012年の日本の相対的貧困率が16.1%で、こどもの貧困率が過去最悪の16.3%になったのを受けて、政府は2014年8月、「子どもの貧困対策大綱」を初めて策定しました。

 非正規雇用が増えて貧困が拡大する中で、食費以外を削らざるをえない層の増加が消費増税の影響を直ぐにうけたと見えるようなデータです。

「中小企業家しんぶん」 2015年 6月 25日号より