女性のための経営指針成文化セミナー開催で学びの体質へのきっかけづくり

【変革と挑戦―各同友会の実践事例から】59

広島同友会

広島同友会 女性部担当理事 川野 登美子氏((株)かわの マリーエイド 相談役)

 広島同友会女性部は同友会会員に加えて、非会員の経営者夫人や経営幹部で構成されています。経営者夫人は女性部の行事だけに出席する傾向もあり、経営指針部会に敷居の高さを感じる人も少なくありません。また、過去の自分がそうでしたが、経営指針づくりは社長の仕事、自分には必要ないという気持ちも根底にはあります。

 そこで、経営者夫人にとっても敷居が低く、かつ学べる「女性のための経営指針成文化セミナー」を2014年度からはじめました。

 企画した理由は、経営指針を学び実践することで会社も私自身も180度変わった実感があるのと同時に、もっと早く実践できていればという思いを持っていたことにあります。そのためにも、経営指針の必要性を実感する機会を意識的に作っていく必要があると感じました。

 一方、女性経営者は例会や支部などで学ぶ機会はありましたが、そこで学んで“できた気”になって辞めてしまう人も多くいました。そこで、経営指針を勉強してきた歴代の女性部の中心メンバーに力を貸してもらい、一緒に学ぶ体制としました。

 セミナーには34社36名、発表会には19社23名が参加しました。セミナーでは参加者の話をじっくりと聞き、どうしたら解決できるかを4人の協力者のもと参加者に寄り添いながら継続させてきました。ポイントは、(1)同じ講座を2回開催して受講機会を増やしたこと、(2)小グループ編成でのきめ細やかな関わり、(3)セミナー終了後の食事会を必ず開催してコミュニケーションを深めたことの3つです。

 女性は担う役割が多面的なため、「ながら経営」になりがちで、参加する条件も限定されてしまう現状もあります。女性限定だからこそ、柔軟にかつ腹を割ったコミュニケーションを深められたのだと思います。

 今後は財務に取り組む予定です。経営指針づくりを通して理念を共有し、決算書の公開で社員の自主性も促され、経営者もそこから学ぶことは大いにあります。「学びの同友会」体質へシフトさせていき、本当の意味で謙虚に学ぶ姿勢を持てるよう、継続して取り組んでいきたいです。

(2015年度第1回中同協女性部連絡会 実践報告より)

「中小企業家しんぶん」 2015年 11月 5日号より