中小企業の魅力を若者へ発信 地域に優れた人材を残し、育てる使命を担う

【変革と挑戦―各同友会の実践事例から】60 鹿児島同友会 求人・共育委員長 福田 真也 (大福コンサルタント(株) 代表取締役専務)

鹿児島同友会

 鹿児島同友会では共同求人と社員共育が一体となった求人・共育委員会として、共同求人、社員共育、鹿児島耕作プロジェクトなどさまざまな活動に取り組んでいます。

 鹿児島同友会が共同求人活動をスタートさせたのは同友会が設立された1988年。当時はバブル真っ只中で、県内の中小企業が求人難にあえいでいました。23社の参加で始まり、毎月2回の定例会で就業規則を見直しや社内体制の整備などを学びながら学校訪問、合同企業説明会などを勢力的に行っていました。1992年をピークに参加企業は減っていき、近年は学生の企業ガイダンス離れが進み、共同求人活動も大きく舵を切りなおさなければならない状況があります。

創意工夫で中小企業の魅力を伝える

 そこで、近年は「社長のプレゼンが聞ける!企業ガイダンス」として、まず始めに各企業の社長が自ら経営理念、会社概要、自社の魅力などをプレゼンテーションして、学生に熱い思いを伝えています。委員会では事前に参加企業を集め、いかにして学生に自社のことをわかりやすく、魅力を伝えるか、予行演習を行い、スキルアップを図り臨んでいます。

 鹿児島耕作プロジェクトは、2013年に地元の志學館大学と産学連携協定を締結し、「将来、企業家あるいは社内ベンチャーを目指す学生に生きる知恵を授けたい」との趣旨で、始動したプロジェクトです。社長が学生に読ませたい本の贈呈式、インターンシップ、模擬面接会や経営者と語る会などを実施しています。 また学校との連携を深め、学生との関わりを持つために、学生と語る会は16年前から実施し、何のために働くのか、鹿児島の中小企業のイメージなどについて複数の経営者を交え、グループ討論を行い、キャリア教育の一環として取り組んでいます。

魅力ある企業づくりをめざす

 毎年調査しているアンケート結果では、今年の春に新卒採用をしたところは27・9%、採用しなかったが69・1%という数値でした。採用しなかったという企業のなかには、残念ながら求人したが採用できなかった会社もありました。

また、来年春に新卒および中途の採用予定がある企業は39・7%となっており、昨年より確実に採用意欲が高まっています。しかし、現在の学生優位の売り手市場や採用活動の新日程の影響により、学生の確保が難しくなっている企業もではじめており、今後も同様な傾向がしばらく続く可能性もあります。

 そのような環境だからこそ、鹿児島同友会の共同求人活動では、採用だけでなく地域に優れた人材を残し、育てるという使命を担い、自社の発展と地域社会への貢献を掲げ、魅力ある企業づくりから継続した新卒採用を目指して、共同求人活動の充実を図っていきたいと思っています。

「中小企業家しんぶん」 2015年 11月 15日号より