連載【「社会に開かれた教育課程」の実現に向けて~新しい学習指導要領 スタート~】第1回 「社会に開かれた教育課程」とは何か

 2020年度から、新しい学習指導要領に基づく学校教育が始まります。新しい学習指導要領がめざすのは「社会に開かれた教育課程」の実現です。今回から6回にわたって、「社会に開かれた教育課程」について連載します。

 そもそも学習指導要領とは、全国どこの学校でも一定の教育水準が保てるよう、文部科学省が定めている教育課程(カリキュラム)の基準です。子どもたちの教科書や時間割は、これをもとに作られています。

 学習指導要領はおよそ10年に1度改訂していますが、今回改訂された新しい学習指導要領が小学校で2020年度から、中学校で2021年度から、高等学校で2022年度から全面実施されます(特別支援学校は、小・中・高等学校学習指導要領に合わせて実施)。

 2020年度から始まる新しい学習指導要領には、「学校で学んだことが、子どもたちの『生きる力』となって、明日に、そしてその先の人生につながってほしい」という願いが込められています。

 社会のつながりの中で学ぶことで、子どもたちは、自分の力で人生や社会をよりよくできるという実感を持てます。このことは、変化の激しい社会において、子どもたちが困難を乗り越え、未来に向けて進む希望や力になります。これからの学校には、社会と連携・協働した教育活動を充実させることがますます求められます。このため、今回の学習指導要領全体に通底する基本的な理念として「社会に開かれた教育課程」が示されたのです。

 「社会に開かれた教育課程」とは、よりよい学校教育を通じてよりよい社会をつくるという目標を学校と社会とが共有し、それぞれの学校において、必要な教育内容をどのように学び、どのような資質能力を身につけられるようにするのかを明確にしながら、社会との連携・協働によりその実現を図っていくものになります。

 次回から、今後の学校教育において「社会に開かれた教育課程」をどのように実現していくことが考えられるか説明していきます。

 「社会に開かれた教育課程」の実現のためには、読者の皆様のお力添えが不可欠です。今後もこのコーナーに目を通していただければ幸いです。

文部科学省初等中等教育局 教育課程課

「中小企業家しんぶん」 2019年 11月 5日号より