OHサポート(株) 代表/産業医 今井 鉄平(神奈川)
経営者にぜひ知っておいていただきたい新型コロナ対策情報連載(全10回)の7回目になります。今回のテーマは「コロナ禍のストレスマネジメント」についてです。
コロナ禍において、経営・職場環境や日常生活が従来と大きく変化し、経営者も含めて働く人々のストレスが増大してきている懸念があります。例えば、「慣れない生活スタイルが続くことで、日常生活上のバランスを崩してしまいやすい」、「未来が心配になったり、過去と比べたりすることで心理的な苦しさがふくらみやすい」といった変化が生じていることが考えられます。このような状況下においては、日々のストレスマネジメントがより重要になってきます。
このような変化に対するストレスマネジメントとして、「マインドフルネス」、「行動活性化」、「身体活動」、「睡眠」の4つに着目して取り組んでいくことが重要です。
まず、マインドフルネスですが、今ここでの経験に注意を向けて、ありのままを受け止めていく手法や考え方のことで、ストレスを和らげ、集中力や注意力を高める効果があります。出口が見えない未来や普通の日常があった過去に囚われすぎず、現在にフォーカスしていくことが重要なポイントとなります。
次に、行動活性化ですが、休日も自宅で過ごす機会が増え、積極的な気晴らしの機会が減ってしまった方も多いのではないでしょうか。楽しさにつながるような活動を継続することもストレスマネジメントに役立つことでしょう。
そして、身体活動ですが、運動すること自体にストレス軽減効果があり、また睡眠へのよい影響などメリットは非常に大きいです。しかしながら、コロナ禍で運動量が以前よりも減っている方も多いことと思います。減ってしまった運動量をどう確保していくかをよく検討しましょう。
最後に、睡眠ですが、質のよい睡眠にはストレス軽減効果があります。休日などゆっくり寝てしまうことが増えた方も多いことかと思いますが、睡眠リズムを崩してしまわないように注意をしましょう。
ここであげた4つのポイントについては、東京大学大学院医学系研究科精神保健学分野で作成された「いまここケア」というサイトで詳しく紹介されています。(※)
ぜひこちらもご参照いただきながら、コロナ禍におけるストレスマネジメントを実践していきましょう。
※「いまここケア」https://imacococare.net/
〈プロフィール〉
今井 鉄平(OHサポート(株)代表/産業医)
産業医科大学医学部医学科卒業。大手企業での15年以上にわたる専属産業医勤務を経て、2018年4月にOHサポート株式会社を開設、中小企業向けの産業医サービス提供を主業務としている。日本産業衛生学会専門医、医学博士。
「中小企業家しんぶん」 2020年 12月 15日号より