宮崎同友会きりしま支部と宮崎県立都城西高等学校との地域連携探究活動【宮崎】

宮崎同友会きりしま支部(支部会員数151名)では、昨年から県立都城西高等学校との地域連携探究活動に取り組んでいます。

2021年度は、28名の会員がメンター企業となり、6月~2月までの8カ月間、2年生の探究活動に伴走しました。今年度は、チーム数が増え、45名の会員がメンター企業となって取り組んでいます。

この活動が始まったきっかけは、2013年に、都城市と都城商工会議所、同友会の3者で「起業家育成支援の実施に関する協定書」を締結したことにさかのぼります。「起業家育成を推進するとともに、事業者の増大並びに雇用の創出等に必要と認める事業を実施して、魅力あるまちづくりに寄与すること」という目的のもと、この3者で協力して、起業家育成のための「創業塾」、市内の中高生へ向けての「夢見る課外授業」の2つの事業に取り組んでいます。毎月定例の会議を行い、事業の遂行とともにその時々の課題について話し合ってきました。

2020年7月の定例会議に都城西高校の先生が出席し、「1、2年生全員を対象とした職業講座を行いたい。多くの経営者の話を聞かせたいので協力をしてほしい」と要望を出されました。そこで商工会議所会員10名、同友会会員20名が講師となって学校に出向くことに。ここから、同友会と都城西高校との連携がスタートします。翌年2月には「生徒の探究活動の発表を聞いて評価をしてほしい」と声がかかり、職業講話に関わった会員が出かけていきました。「はじめから関わっていないと評価はできない」との反省があり、2021年度は探究活動のメンターとして1年間を通じて関わっていくことに。新しい指導要領が施行される1年前のことです。

2021年度の探究の柱は「SDGs」。メンターになった会員は、まずSDGsの理解を深める勉強会を行い、その中で自社が取り組むべき地域の課題は何かを考え、テーマ案をまとめました。学校では、普通科の2年生240名が28チームに分かれ、企業から示されたテーマ一覧をもとに自分たちの取り組みたいテーマを決定。初顔合わせの6月は、生徒と会員とで話し合い、取り組むテーマと計画をまとめました。7月に活動計画発表会、11月に中間発表会と折々にメンターは学校へ出向きました。その間は、Googlechatを使って、生徒が毎週水曜日の探究活動が終わった後に何をしたかを書き込み、会員はそれを見て助言をするというやりとりを行います。校外への外出もこの授業では認められており、生徒と会員がごみ焼却施設を見学したり、会員のお店に生徒が出向き課題解決の糸口を探ったりという活動を行ったチームもありました。

2月には体育館で全チームが発表をするポスターセッション。直前の打ち合わせでは、経営者から「もっとハキハキと」「ここは根拠が薄い、補足をしっかり」と最後の助言が。生徒も経営者も他のチームの評価をし、部門ごとに優秀な探究活動を表彰しました。1年間の活動を終えて、会員からは「今まで取り組もうと思いながらできていなかったことが生徒さんと一緒に取り組めた」「SDGsと地域の課題と自社の課題を結び付けて考えることができた」とそれぞれの手ごたえが感想となって出されました。

今年の取り組みも10月の中間発表を経て、2月の最終発表へ向けてのまとめが始まっています。

「中小企業家しんぶん」 2022年 12月 5日号より