長野同友会では、1999年から信州大学教育学部附属長野中学校・2学年約200名の「14歳の問い」・ヒューマンウィーク(長期1週間・社会体験学習)の受入企業側として協力してきました。ヒューマンウィークの目的は、「価値観が多様化する社会の中にあって生徒たちが地域の企業で仕事を実際に体験し、額に汗しながら働くことを通じて社会の中で自分が大切にしたい生き方を追求していく」です。
なぜ今日まで23年の長きにわたってこの学びの場が発展し続けてこられたのか。生徒の皆さんの学ぼうという意欲や、例えばコロナ禍においても創意工夫を凝らして目的を外すことなく実施し続けようといった学校側の努力は当然あります。一方で地域の企業側(経営者・社員)にとっても、毎年大変学び多い機会になっているからです。生徒の皆さん一人ひとりが「14歳の問い」として、「何のために働くのか」「人の役に立つとは、どういうことか」「生きがいを感じるにはどうしたらよいのか」といったそれぞれの命題を持って企業を訪れ、経営者と社員と一緒に働きながら真剣に問いかけてくるので、受入企業側こそハッとさせられます。受け入れる側としては、このような取り組みを通じて「経営者がよりよく変われば、社員(保護者)が変わり、家庭(子ども)が変わる、そして地域が変わる」ことをめざして進めてきました。また多くの中小企業の泣きどころは「人」と言われます。「人」とは実は社員のことだけではなく、経営者自身の日々の姿勢や課題にもつながります。ヒューマンウィークを受け入れることが、自社の経営理念に照らして見つめ直す機会になっているのです。
この活動を起点として、現在では県内のさまざまな地域において地元中学校やさらに高校・大学(高校生に地元企業を知ってもらうためのメッセ、「長野県企業を知る会」、高校生と語り合う「JIBUN発旅するラボ」など)など、いろいろな連携活動が広がっています。
今後もますます地域と共に歩む中小企業と同友会づくりをめざして教育機関などとの「共育ち」「相互互恵」を大切にしつつ展開していきます。
「中小企業家しんぶん」 2022年 12月 5日号より