【経済データを読む】就業形態別労働者の割合

 「非正社員の割合を事業所規模別にみると、小規模企業になるほど多く、大企業になるほど少なくなっている」と従来は言われてきていましたが、実態はどうでしょうか。この間、問題になっている若年者の非正社員の増加という点から、厚生労働省「平成19年就業形態の多様化に関する総合実態調査結果」より、改めて統計を加工して考えてみたいと思います。

 表の(1)欄では、確かに大規模企業の方になるほど非正社員の割合が少なくなっています。しかし、若年者の非正社員の割合に近い数字を推計するために、非正社員から、定年退職者などを中心とする嘱託社員と、主婦などが中心と思われるパートタイム労働者を除いてみると、表の(2)欄のように、今度は反対に、規模が大きくなるほど非正社員の割合が増えていきます。

 なお、非正社員割合は、前々回(1999年)から前回(2003年)が7.1%上昇。前回から今回(2007年)がさらに3.2%上昇しています。就業形態別にみると2003年に比べて派遣労働者のみ2%から4.7%と大きく増加しています。その内訳では1000人以上で3.7%から 11.3%、500~999人で3.9%から10.5%、300~499人で2.6%から8.8%、100~299人で2.3%から6.9%、50~99 人で2.6%から4.3%、30~49人で1.5%から3.1%、5~29人で1.2%から2.2%と、規模が大きいほど派遣労働者を増やしていることが明白です。

 2003年は、中国への輸出の急増で日本の大手製造業の急回復が始まり、2004年から製造業への派遣労働が解禁され、リーマンショックの08年9月まで、大手企業はさらに派遣労働者を増やしていると思われます。

詳しくは以下を参照下さい。
http://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/syugyou/2007/1107-1.html

就業形態別労働者割合

「中小企業家しんぶん」 2010年 7月 25日号より