「働きたい」を応援する地域連携【滋賀】

「働きたい」を応援する地域連携
滋賀同友会ユニバーサル委員会の取り組みより

 「この子らを世の光に」と言い続けた故・糸賀一雄氏(滋賀県立近江学園初代園長)など、障害者運動の歴史的蓄積のある滋賀県では、障害者と行政、同友会による「働きたい」を応援する地域連携が始まりました。10月に福岡で開かれる障害者問題全国交流会第1分科会では、その地域連携について、パネルディスカッションが行われます。

 「どんなに重い障害があっても、身近な地域でいきいきと暮らしたいという思いを実現するため、障害のある人の“働きたい”を積極的に応援していくことを、ここに宣言します」。

 2005年2月12日、県内障害者6団体代表と知事、そして滋賀同友会が連名で「障害者の“働きたい”を応援する滋賀共同宣言」を出しました。

 宣言は「1、就労支援と生活支援の両面から、働きたいという意欲を支えます。2、障害のある人の“働きたい”を応援し、働く場の拡大を図ります。3、働く意欲を持ち、自立して生活することを目指します。」を3つの柱に、福祉の枠内でとらえてきた障害者支援を、働くことを通じて人間らしく自立して生きる視点へと切り替え、中小企業との連携で、その条件整備をめざすという画期的な内容でした。

 滋賀同友会ユニバーサル委員会は、この宣言の実行と「障害のあるなしにかかわらず、すべての人が人間らしく生きることができる社会づくりを」と、昨年度から活動を始めました。

 当初から障害者の自立促進と共同(働)作業所・授産施設の事業振興などに取り組む~滋賀県社会就労事業振興センターと連携し、障害者を雇用する企業や施設を訪ね、経営と福祉との違いを認め合いながら「何のために」を大切に、「難しく考えずにできることからやる」姿勢で、仕事や働く場づくりを話し合ってきました。

 共同(働)作業所の授産事業を強化する勉強会や、精神障害者のジョブガイダンスに協力。さらに、障害者の職場実習「トライワーク推進事業」では、受け入れ企業での雇用に結びつきました。作業所と工務店が連携し、一人ひとりの得意をいかすおもちゃ工房づくりも始まりました。今では12施設と2つの支援組織が同友会に加わり、学びと連携の条件が広がっています。

 障害者自立支援法が施行され、障害福祉サービスが大きく変化する中で、障害者が地域で当たり前に暮らし、働き生きることができる環境整備が焦眉の急となっています。

 同友会では県の「淡海障害者プラン策定委員会」「滋賀県特別支援教育推進協議会」「滋賀県障害者支援就労ネットワーク懇談会」に参加して施策立案にかかわるとともに、作業所や施設との学び合いを進め、お互いが自立して連携し、事業を発展させていく関係づくりをさらに進めています。

「中小企業家しんぶん」 2006年 9月 5日号より