松山市立小・中学校でキャリア教育展開~将来の地域経済を担う若い世代の育成を目指して【愛媛】

市教育委員会と連携して6月からスタート

 愛媛同友会は2012年度、松山市教育委員会と連携し、市立小・中学校で実施されるキャリア教育において、講師や職場体験受け入れ事業所の紹介を行います。

 各校からの要望を松山市教育委員会が取りまとめ、連携して愛媛同友会が各校に会員を紹介するという流れです(図参照)。これにより、学校単独では難しい、幅広い地域や業種の企業との接点をつくることが可能になります。既に校長会を通じて各校に実施要領と申込書を送付済みで、5月中旬にも実施校と内容を決定し、早い学校では6月からスタートする見込みです。

 対象となるのは、松山市内の全ての市立小・中学校です。松山市教育委員会では、小学校55校・中学校29校のうち、半数程度から要望が提出されるのではないかとみています。

 連携内容としては、(1)社会で働くこと、生きることの本質や意義に触れる講演会、(2)教科等における出前授業、(3)行事等における外部人材を招いての体験活動、(4)職場体験学習や職場見学のための職場の紹介―などを予定していますが、これ以外にも松山市教育委員会と愛媛同友会で検討・協議をおこなって柔軟に対応していきます。

四国初の取り組みに注目集まる

 松山市内の小・中学校はこれまでも各学校単位で、経営者を講師に招いた出前授業や職場体験を実施してきましたが、近隣企業に偏ったり、特定企業に問い合わせが集中したりするなどの課題がありました。

 今回、松山市教育委員会が窓口として一元的に要望を取りまとめ、愛媛同友会が県内のさまざまな業種の会員の中から紹介をおこなうことで、例えば松山市の子どもたちに四国中央市の会員が同市の地場産業である製紙業について講義するといった、より幅広く有意義な教育が実施できるものと期待されています。

 一方、参加する企業にとっては、▽将来の地域経済を担う若い世代に対する人材育成▽児童生徒との交流を通じた自社の価値の再確認―といった成果が期待できます。

 また、愛媛同友会にとっても、目標に掲げている「水平型社会(共学・共育・共生の社会)づくりの実現」に向けた布石になることを期待しています。

 なお、今回のように教育委員会が経済団体と協力して小・中学校に経営者を派遣する仕組みを制度化するのは、四国初とのことです。

 愛媛同友会は1994年に全国の中小企業団体で初めて、中学生の職場体験を受け入れて以来、キャリア教育に積極的に取り組んできました。

 1998年からは県内4大学のインターンシップ連絡協議会事務局も務めています。こういった取り組みが評価され、2007年に文部科学大臣表彰を受けました。さらに2007年からは愛媛大学で、会員を講師とした提供講座も開講しています。

 今回の松山市教育委員会との連携により、これまで以上に中小企業の持ち味を発揮して運動につながるものと考えています。

「中小企業家しんぶん」 2012年 5月 5日号より