新商品の開発へ「開物成務塾」~大学との連携強化【福岡】

【変革と挑戦―各同友会の実践事例から】43

 同友会福岡地区会では、日本大学湯本長伯教授のご指導の下、地元の活性化・街づくりというテーマで、毎月1回産学で新商品開発を中心とする「開物成務塾」を開催しています。

 これまでの産学連携は、大学のシーズを大企業が商品化するという形がほとんどでしたが、産業界に大きな成果をもたらしていません。 これからの産学連携は「ボトムからの事業創出」という点に絞り込み、中小企業から草の根イノベーションを起こし、地元に小さな事業を数多く生み出し、雇用を促進し、元気な街を作り出すというテーマで開物成務塾はスタートし、今年で丸6年継続しています。

 毎月の塾では湯本先生の講義で発想法や新商品開発の手法など日頃聞くことのできない講義をいただきます。新しい発想法が中小企業内に芽生え、新しいものを作り出そうという社風が生まれ、商品開発が進みます。

 ワークショップでは、それぞれの中小企業が考えている新商品のアイデアを同じ中小企業経営者の塾生(20~30名)の前で新商品提案を行い、開発や販促などの悩みをオープンにします。塾生からそれぞれの専門的な分野からのアドバイスや消費者の立場としての意見がどんどんでてきます。最後に湯本先生に講評をいただく形で進めています。

 1社1億円の新しいビジネスを作り上げることで100社そろえば100億円のビジネスが地元に誕生します。そうすることにより雇用の創出、街の活性化によりイキイキとした街づくりを目指します。

 2010年より産学連携学会への参加も始めました。第9回(佐賀)11名、第10回(高知)11名、第11回(岩手)5名、今年第12回(長野)は11名で参加。

 学会訪問時や他県での産学連携の交流で、湯本先生と塾生で押しかけ、宮崎・長野・高知・岩手の同友会の皆さんとの相互交流も始まりました。この草の根イノベーションを全国へ広げていきます。

 また、今年から福岡大学経済学部「ベンチャー起業論」の学生との交流が始まり、地元中小企業と地元学生による地域活性化の動きがスタートし、新たな産学連携が始まりました。

 今年4月までに100を超える新商品の発表があり、今年3月末での年間売上7426万5000円。目標にはまだまだ遠いですが、塾生全員目標に向けて邁進中です。

開物成務塾ホームページアドレス
http://kaibutsu-seimu.com

開物成務塾担当:福岡地区副会長・高谷幸一 実行委員長・古川淳一 塾事務局・宮崎惠津子

「中小企業家しんぶん」 2014年 9月 15日号より