統計グラフ化ツール「グラレスタ」始動!!〈第6回〉

 中小企業を取り巻く外部環境を考察する上で必要不可欠な統計データ。各企業が自社で調査した数値を公開しているものもあれば、国が統計データとして公開しているものもあります。国が作成するマクロ経済統計を中小企業のビジネスに活用するための視点やその手法について紹介します。今回は、特別号として本年3月から稼働が始まった統計活用ツールを紹介します。

 これまで経営戦略への統計の活用方法を学んできましたが、実際に必要なデータを探し、複数年分を集め、整理する作業はとても大変です。

 そのため当グループでは、誰でも、簡単に、無料で長期の時系列データをグラフ化できるツール「Graphical Representation of Statistics(グラレスタ)」を開発しました。(図1)

https://stage.mirasapo-plus.go.jp/hint/5056/

 前回概要を紹介しているので、本稿ではツールを活用する上で大切なポイントを説明します。

 まず製造業以外の方でも活用できる点です。例えば、サービス業の方で主要取引先が製造業という場合、第3回、第4回で紹介したように取引先(の主要製品)の動向を把握する際に活用することができます。また、第1回、第2回で紹介したように、伸びている分野では他業種のビジネスチャンスが眠っている可能性があるため、新規事業の検討にも活用できます。

 次に、目的に応じて項目を選ぶ必要がある点です。例えば、図2のように対象品目が増加傾向かを確認する場合、指標としては生産より出荷が適切だと考えます。理由は、生産数量が増えても在庫に回っている可能性があるからです。

 一方、相手先の繁忙期に協業を考える場合、指標としては出荷より生産が適切だと考えます。理由は、国内生産ではなく、海外からの受入で出荷数量が増えている可能性があるからです。

 今後、当グループでは、グラレスタへの統計の追加、利便性のさらなる向上などを検討していきますので、ぜひ本ツールを活用いただくとともに、同ページにあるアンケートにご意見、ご要望をお寄せください。

 また、ツールの充実だけでなく、今回紹介したような「ビジネスへの政府統計の活用方法」を学ぶ各県同友会向けの勉強会も開催できますのでお気軽にご相談ください。それでは、統計を活用し、会社を、地域を、そして日本を元気にしていきましょう!!

経済産業省大臣官房調査統計グループ 田中 幸仁

「中小企業家しんぶん」 2021年 4月 25日号より