すべての人に健康を届ける~持続可能な社会の発展のために 桜井食品(株) 代表取締役桜井芳明氏(岐阜)

【連載】同友エコ2021受賞企業

 同友エコ2021受賞企業を紹介する連載。第4回目となる今回は、環境経営委員長賞を受賞した桜井食品(株)(桜井芳明代表取締役、岐阜同友会会員)の取り組みを紹介します。

 岐阜県美濃加茂市で乾麺、即席麺の製造・販売とオーガニック食品の輸入・販売を行う桜井食品(株)。創業は1910年で、112年の歴史を持ちます。

無添加のうどんから無添加のインスタントラーメンへ

 戦後、輸入された小麦粉は白くてきれいなため高級品で、色の着いている国産の小麦粉(うどん粉)は2流品として扱われていました。自社で製造していた国産小麦粉を使用したうどんはなかなか売れず悩んでいましたが、一方で無添加の製品に対するニーズが一部にあることも知ります。「将来を見据えたときに添加物や人工的なものを嫌がる人は出てくるから、あと1年がんばれ」との声もあり、徐々に販路を拡大していきました。その後、公害問題を取り上げた本がベストセラーとなったことをきっかけに、一気に食品添加物についての関心が高まります。すると、同社の無添加のうどんへの注目が高まり、さらに「安心して食べられるインスタントラーメンもほしい」との声から、45年前に現在の場所に工場を移設し、無添加のインスタントラーメンの製造を始めました。

SDGsの取り組み

 自社の事業にSDGsを取り入れている同社は、フェアトレードに取り組んでいます。海外から多くの食材を輸入していますが、「製品に使用しているものすべてがフェアトレードでないと意味がない」との考えのもと、使用している材料一つひとつすべてにフェアトレード品を採用しています。

 また、即席麺の製造に使用されるパーム油の生産にも環境問題が大きく関わっています。熱帯雨林を切り倒し、焼き畑農業のようにして生産されているという問題があり、地球温暖化の加速や生態系破壊、また児童労働の問題にもつながっています。同社では、RSPO(持続可能なパーム油のための円卓会議)の原則と基準を満たし、環境に配慮して生産されたパーム油を使用しています。

今後の展開

 海外ではアップサイクルという考えが注目されています。今まで捨てていたものを再利用し、付加価値を加えて新たな製品に生まれ変わらせるという取り組みで、現在アメリカなどで主流となっていますが、今後は日本でもキーワードになると予想しています。同社では、これまで捨てていた小麦の皮を活用できないかと考えており、今後国内でアップサイクルの需要が高まった際にすぐ対応できるように準備しています。

 現在、製造している商品の約11%を海外に輸出していますが、今後は比率を25%まで上げていく予定です。世界中の食卓に安心・安全な食品を提供し、持続可能な社会へ向けてさらなる挑戦を続けていきます。

会社概要

創業:1910年
設立:1978年
資本金:6,700万円
事業内容:乾麺、即席麺の製造・販売、輸入オーガニック食品の販売
URL:https://www.sakuraifoods.com/

「中小企業家しんぶん」 2022年 12月 5日号より