SDGsの正しい知識と自社での進め方を学ぶ場を定期的に開催~SDGsを学ぶ研究グループ会【福島】

 福島同友会いわき支部(高崎文孝支部長、会員数329名)では、2017年の福島同友会創立40周年記念講演会(国谷裕子氏)を契機として、SDGsへの問題意識が高まり、毎年の支部活動の重点項目となっています。そのような中、2年前よりSDGsを学ぶ研究グループ会(大内政雄グループ長、大内法務行政書士事務所)が立ち上がりました。

 11月2日には、「経営指針とSDGs」についての勉強会を開催しました。当日は、定例の大内グループ長からのSDGs最新情報および、他県同友会の活動報告(今回は、北海道同友会とかち支部の事例)発表がありました。次に、実際に経営指針にSDGsを取り入れた支部会員企業(株)立川鋸商会・立川敦氏の実践報告がありました。同社は、木材加工会社向けの大型鋸刃の製作や、再研磨による再利用のための加工をメインに行う環境に優しい会社です。県経営指針を創る会補講で得たSDGsの学びから「同友会の『人を生かす経営』『経営指針成文化と実践の手引き』の内容とSDGsとには高い親和性があり、経営指針づくりにSDGsを取り入れることはとても有効だとあらためて感じました」と立川氏。自社の10年ビジョンをSDGs17のゴールにつなげていく際には、完全完璧にという考え方よりは、ある程度「自社にとって有効な解釈」に絞り込んで取り入れたそうです。また、SDGsとの関連づけを進めていくと、両立できない関係性を表す『トレードオフ』など新たな課題が生じますが、その課題に対する対処方針・判断基準を明確化するものが「経営理念」なのだと痛感させられたそうです。「SDGsの学びを通じて、自社の新たな価値の発見や将来の事業の方向性、自社の課題が明確に整理されるようになりました」と立川氏はまとめました。参加者からは、「経営方針とSDGs169のターゲットを当てはめてみると、自社に足りない部分が可視化されるということ」「SDGsの学びが、考えをまとめるだけではなく、新たなる価値観の上乗せにつながっている」などの感想が聞かれました。

 大内グループ長は、同友会での活動以外にも、福島県委託SDGs事業の運営サポートや行政への講師派遣、他団体を通じて希望企業へSDGs導入に向けた助言およびコンサルティングを行うなど、本業に加えた付加価値を越えた領域まで活躍の場が広がっています。こうした活動が評価され、今年度の同友エコ奨励賞を受賞されました。今後も、福島同友会いわき支部では、SDGsの正しい知識と自社での進め方を学ぶ場づくりを通して、「誰ひとり取り残さない」いかなる変化にも適応できる強靭で持続可能なオンリーワン企業づくりに貢献していきます。

「中小企業家しんぶん」 2022年 12月 5日号より