「親や先生以外の大人と、こんなに話をすることはなかった」。宇都宮大学の学生とのインターンシップ説明会に向けて、5月、6月に行われた2回にわたる事前懇談会の中で出た言葉です。私たち中小企業家は、子どもたちにどれだけ仕事を語ってきたのだろうか、この言葉を聞いたときにふとそんな疑問が会員の頭をよぎりました。
昨年開かれた中同協の第4回中小企業サミットに、宇都宮大学の学生たちが参加しました。そのメンバーが集まり、「コラベルト」というグループをつくって彼らの地元である栃木同友会を訪ねました。「大学生が地元の中小企業をもっと知るためにどうすればよいか?」。彼らの投げかけに栃木同友会のメンバーが応え、前述した2回の「大学生と経営者の懇談会」を経て、7月21日に宇都宮大学の構内でインターンシップ説明会が開催されました。
参加企業8社には事前に学生が取材を行い、参加企業紹介を作成して学生の参加を募ります。企画・宣伝・準備は全て学生が行い、栃木同友会はサポートに回りました。
当日は10時から13時の開催時間の中で20名の学生が参加。各社のブースには興味のある学生たちが集まります。多い会社で7名、少ない会社でも3名ほどが話を聞きに来ました。20~30分ほどかけてそれぞれが自社のことを学生に伝え、学生も就職に対する不安や疑問をぶつける、やり取りは真剣そのものです。結局、時間を20分ほどオーバーして説明会は終了しました。
大学生との連携を通じて企業側が感じたのは、学生は社会を知らない、会社は学生に知られていないということです。知られていなければ就職先として選んでもらえません。そう考えると同友会の共同求人活動は「中小企業という選択肢を知ってもらうための活動」という役割も持たなければなりません。
大学院に進もうという4年生からある問いかけがありました。「自分が4年間学んできたことが何の役に立つのかが分からない。実際にどういうふうに使われるのか」。仕事の中で自分なりの答えを探すしかありませんが、はっきりと答えられない歯がゆさが残りました。
今後もこのような関わりを続けていくことが大切であると実感する機会となりました。
「中小企業家しんぶん」 2024年 9月 5日号より