「代表理事に聞く」千葉 
(株)あかうみ 代表取締役 赤海 章義代表理事 
中小企業家同友会として誇りを持つ

自己紹介~2代目の経営危機~

弊社は千葉県成田市を中心に配送から保管を一括に請け負い、最適な物流ソリューションを提案しています。具体的には成田国際空港の航空貨物や周辺工場の貨物配送、市内小学校への給食配送、産業廃棄物収集運搬も手掛けています。最近では少数ですが、EVトラック(でんきトラック)も導入しました。これは弊社の経営理念「互いの幸せな人生を目指し共に成長し続ける」ため、環境と未来に配慮した導入ですが、サプライチェーンに敏感な欧州ブランド企業に支持いただいています。

私は21歳の時にドライバーとして(株)あかうみに入社しました。先代である父はいわゆるカリスマ経営者で、私を幼少期から知っている社員も多く、「お坊ちゃん」と見られていたと思います。そして2000年に専務に就き、さまざまな新規事業に取り組みました。ですが、自分の甘さから新事業はことごとく失敗。そこに原油価格高騰やリーマンショックが立て続けに重なり、売り上げは20%減、弊社は危機的状況に立たされました。焦りや不安で視野は狭まり、金策に明け暮れる日々。経費削減や給料減額などでなんとか峠を乗り越えた後に残ったのは、自身の経営者としての自覚の欠如という事実でした。2度と繰り返してなるものか、その思いで経営姿勢を見直すことを決意しました。

若き経営者に学びの機会を

同友会には2010年に専務の立場で入会しました。もともと父が入会していたこともあり、早い段階で支部幹事長や支部長に就任しました。当初は目の前のことに精一杯でしたが、若手経営者が少しずつ増えていくと、「学びの場や機会をつくり、何かに気づいてもらうことが自分の役割であり、学び続けなければいけない」と考えるようになりました。同時に社員から会社の方向性を問われたことを契機に、経営指針成文化セミナーを受講しました。そこで自社の存在意義や社員との向き合い方、経営課題解決の実践のヒントをもらいました。それから経営指針書のリニューアルや人事評価制度を幹部と共に作成、月1の幹部会議とリーダー研修の開催、経営指針発表会などを実践してきました。

同友会で学ぶ中小企業経営者としての誇りを

徐々に同友会運動が腹に落ちていくころ、副代表理事を経て、代表理事に就任しました。そしてそこで新しい視点を得ました。それは「地域と真剣に向き合い、地域課題に取り組めるのが同友会だ」ということです。経営者には夢や理念があると思います。ですが、そこに「人間性という経営者の器を養い、科学性という根拠を持って計画・戦略を立て、社会性に富んだ企業経営をする」という視点を取り入れているのは同友会くらいだと思います。ただそれが世間一般に浸透していないことを歯がゆく思います。「なめられたもんだな」、これはある先輩経営者が行政との意見交換会でこぼした一言です。私はハッとしました。同友会会員は中小企業経営者としてもっと誇りを持つべきだということに気がついたのです。そしてそれにおごることなく、中小企業経営者として何ができるのかを考え、問い続ける姿勢を貫くことが、同友会が憧れられる団体として世間に認識されるきっかけになると思っています。

今年、千葉同友会設立50周年を迎えるにあたり、10年ビジョンの策定も進んでいます。歴史を紡ぎ、築いてこられた方々に感謝し、そして今を見つめ、明るい未来と地域を描いていくため、企業経営と同友会運動にまい進していきたいと思います。

会社概要

設立:1977年
資本金:1,000万円
従業員数:146名(うちパートアルバイト6名)
事業内容:一般貨物運送、一般貸切旅客運送、旅行業、倉庫業、陸送業
URL:https://www.akaumi.co.jp

「中小企業家しんぶん」 2025年 4月 15日号より