特集:第6回中小企業サミット

6月6日に、中同協共同求人委員会が主催する「第6回中小企業サミット」が開催されました。参加者の声を紹介します。

寒河江物流(株)代表取締役 後藤 智樹(山形)

このイベントには今回初めて参加をしたのですが、感じたのは、ここに至るまでの共同求人、社員教育委員会の皆さんの同友会運動の実践の素晴らしさです。大学での授業を受け持ったり、大学の先生とのパイプを築いてこられたりしてきたことを開会セレモニーのあいさつで伺いました。また、終了後の振り返りで、参加者から、たとえ自社でのインターンシップや採用につながらなくても、中小企業の魅力や地方の魅力に学生が興味を持ち、地元の中小企業への就職や、他の地域の同業者への就職につながれば、それはそれでうれしいとの感想が出てくるのは、運動が浸透し始めているのだと思います。

弊社のブースには11名の学生が立ち寄ってくれました。弊社は物流企業ですが、学生には、大半は業界の魅力と中小企業で働く魅力、そして山形の魅力を伝えていました。このような学生との会話ができたのは、山形同友会で2015年から行われている山形大学の低学年を対象としたインターンシップイベントに参加していたからだと思います。

また、学生を受け入れるには賃金を上げ続けられる、つまり価格決定権のある企業づくりが重要なわけですが、それには経営指針の成文化と実践が欠かせません。いわゆる三位一体の経営実践です。

私は後日行われた共同求人・社員共育活動全国交流会にも参加したのですが、記念講演がすとんと腹落ちしたのは、今回の中小企業サミットの体験が大きかったとも思います。

(株)アルカディア代表取締役 春原 直樹(長野)

当社の新卒入社率は約30%で、多くは高卒の新卒採用です。普段から学校連携に力を入れており、進路の先生との懇談や学校に出向いてのキャリア教育、インターンシップの受け入れなどを行い、平均で毎年1名の高卒採用ができています。当社は製造業ですが、普通高校からの入社が大半で、全くの未経験から実務を通じて知識、技術を身に付けていく文化ができています。大学生を採用したいという思いはありますが、煩雑な採用プロセスや費用などの問題から、これまでは距離を置いていました。

そんな中、「最近、進学を希望する高校生が増えてきている」という情報を高校の先生方から聞きました。これは将来的に大学生の採用ルートを持っていないと新卒採用ができなくなると思い、大卒採用のはじめの一歩としてこのサミットに参加しました。

開始早々、学生が2名訪ねて来てくれました。理由を聞くと「社名がカッコよかったから」とのことで幸先のよいスタートでした。最終的に10名の学生と話をすることができました。話してみると「自分の進路に迷っている」、「働く場所にはこだわっていない」という学生が多いことが分かりました。また、製造業志望者がいなかったため、少しでも興味を持ってもらえるよう、ものづくりの魅力を伝えました。最終的には「製造業おもしそう、楽しそう!」という感想をもらい安堵(あんど)しました。

学生が将来を選択する際、さまざな業界業種を知ったうえで方向を決めるのは非常に重要なことですし、その手助けになる本サミットには大きな価値があると思います。今回はインターンシップにはつながりませんでしたが、学生のことを知る、よい機会になりました。

(株)マルヤマ三紀商会代表取締役 山下 広和(和歌山)

「中小企業サミット」への参加目的は、今後の採用活動について事業承継者と共に学びを深めること、また和歌山同友会における共同求人委員会の進め方への理解を深めることでした。

当社ブースには大学生4名(男性3名、女性1名)が来訪し、企業や地域について説明を行いましたが、インターンシップへの参加には至りませんでした。

その中から課題としてわかったことは、椅子カバーやパンフレットスタンドなどの備品不足によるブース設営の不備、事業ドメインの伝え方が不十分であった点、自社の魅力や地域との関わりについて学生に十分に伝えられなかった点が挙げられます。

一方で、県内の合同説明会への参加に対する自信が生まれ、インナーブランディングの重要性も再認識でき、事業承継者の刺激により採用活動への前向きな姿勢が強まりました。また、高校生と大学生との違いが少ないという認識も得られました。

今後は、学校との連携強化やブース改善に取り組みながら、より効果的な採用活動をめざしてまいります。

大宮工機(有)代表取締役 宮城 光秀(沖縄)

今回初めて、採用担当社員と2名で参加しました。会場の「東京国際フォーラム」のすぐ目の前のビルに、私が約30年前に初めて就職した会社が入っていました。そのビルは建て替えの最中で、懐かしさと共に時の流れを感じました。

首都圏の学生さんたちと直接話をすることができてよかったです。沖縄では県内就職を希望する学生が多いのですが、首都圏では学生の皆さんが日本全国から来ているためか、「勤務地はどこでもいい、自身の能力を発揮できる場所を探している」という考えの人が多い印象を持ちました。しかし、「どんな仕事があるか分からない」、「自分の適性が分からない」といった声も多く聞かれ、この点は地方も首都圏も同じだなと思いました。

当社の社員は、県内合説では出会えないであろう有名大学の学生も当社ブースに座り、熱心に話を聞いてくれたことから、「当社の事業が全国的にも通用するものであると自信を持つことができた」と言っていました。また、全47同友会から112社が出展しましたが、その中でも人気のブースがいくつかあり、「地域の問題を自社の課題とし、その解決に地域密着で取り組んでいる企業に魅力を感じているようだ」と分析していました。

中小企業サミットは、学生や全国の仲間と交流することで、自社の魅力と課題を再確認する機会となりました。

「中小企業家しんぶん」 2025年 7月 25日号より