中小企業庁が毎年3月と9月に実施している価格交渉・価格転嫁に関するアンケート調査では、2025年3月時点で65,725社から回答がありました。発注側企業からの申し入れによって価格交渉が行われた割合は、前回調査(2024年9月)から約3ポイント増の31.5%。価格転嫁率は52.4%で、前回の49.7%から2.7ポイント上昇しています。コストの増額分を一部でも転嫁できた企業の割合が増加しましたが、価格転嫁が「できた企業」と「できない企業」とで依然として二極化が続いています。
価格交渉が行われた企業のうち、7割超が「労務費の価格交渉も行われた」と回答しています。一方で、交渉は行われたものの、コスト上昇分の全額の価格転嫁には至らなかった企業のうち、「発注側企業から納得できる説明があった」と回答した企業は約6割。取引代金の支払条件については、発注側企業からの取引代金の支払いについて8割超が「全額現金により支払われる」と回答しました。
業種別に見ると(参照:表)、価格転嫁率が高いのは化学、卸売、機械製造などで、いずれも6割以上の企業が価格転嫁に成功しています。5割以上の転嫁率を示す業種を見ると、比較的製造業が高い水準であることが分かります。一方で、トラック運送、飲食サービス、通信、金融・保険といったサービス業では、転嫁率が4割未満と低い傾向にあります。
昨年9月時点との比較では、30業種中25業種で価格転嫁が進んでいる一方、5業種で転嫁率が低下しました。最も転嫁率が上昇したのは紙・紙加工で11.0ポイントの増加、最も低下したのは飲食サービスで18.1ポイントの減少でした。このほか、金属、印刷、広告、製薬も転嫁率が低下し、特に製薬業では13.6ポイントの減少が見られました。物価高の影響に対して価格転嫁が追いつかない現状が浮き彫りとなっています。
原材料費については、価格転嫁率が54.5%であるのに対し、労務費の転嫁率は依然として低く、44.7%から48.6%へと上昇したものの、30業種中50%以上の転嫁率を達成したのはわずか7業種にとどまっています。労務費の転嫁は依然として困難な状況です。その中でも、化学で11.9ポイント、紙・紙加工が11.1ポイントの転嫁率の上昇が見られた一方で、飲食サービスでは15.1ポイントの大幅な低下があり、ここでも二極化の傾向が強まっています。
自社が属する業界と比較して転嫁率が低い場合には、新製品・新サービスの導入など、価格を引き上げられるような対策をしていくことが必要です。

「中小企業家しんぶん」 2025年 7月 25日号より









