2025年も年の瀬になりました。昭和100年、戦後80年、阪神大震災30年、同友会でも「労使見解」発表50年の節目の年でした。さて、2026年を迎えますが、創業・設立から節目の年を迎える「周年記念企業」が全国で14万5159社に上ることが、帝国データバンクの調査で明らかになりました。10年刻みで集計すると、最も多いのは「20周年」を迎える企業で2万6663社。「50周年」は1万7939社、「100周年」を迎える企業も2371社あり、日本には長い年月をかけて事業を継続してきた企業が数多く存在していることが分かります。(表)

周年企業を業種別に見ると、建設業が4万1484社で全体の28・6%を占め、最も多い結果となりました。次いでサービス業が3万9653社で27・3%となっており、この2業種で周年企業全体の半数を超えています。地域インフラや生活関連サービスを担う産業が、日本経済の土台を支えている実態がうかがえます。一方で、「100周年」企業では小売業の割合が高く、長年にわたり地域の暮らしに密着してきた商業の役割の大きさも浮き彫りになっています。
また、経営者の就任経緯に注目すると、創業者および同族承継による企業、いわゆるファミリー企業が全体の約8割を占めています。特に50周年以上の企業では、同族承継や内部昇格の割合が高まり、世代交代が着実に進んでいることが読み取れます。長寿企業の背景には、事業の継続だけでなく、経営をどのように引き継いできたかという積み重ねがあると言えます。
個別の事例を見ると、2026年に400周年を迎える新潟県村上市の鮭加工業「きっかわ」をはじめ、100周年では豊田自動織機、東レ、集英社、富士急行など、日本を代表する企業が並びます。多くの企業が周年を単なる記念行事にとどめず、記念サイトの開設やロゴの刷新、中期経営計画と連動した施策に取り組んでいる点も特徴です。
周年は、これまでの歩みを振り返る節目であると同時に、次の成長へ向けた新たな出発点でもあります。14・5万社という数字は、日本にこれだけ多くの企業が地域や社会とともに存続してきた証しです。同友会でも10年ビジョンの策定を進めていますが、人口減少や物価上昇など厳しい環境が続く中で、周年を迎える企業が次の10年、さらにその先をどのように描いていくのか。その動きは、日本経済や地域の未来を考えるうえで重要な示唆を与えてくれると言えるでしょう。
「中小企業家しんぶん」 2025年 12月 25日号より









