富山同友会城南支部内に設置された地域づくりチーム(現ダイバーシティ委員会)は、2020年4月に発足しました。背景にあるのは、地域社会における多様な課題、特に社会的弱者の孤立や生きづらさです。私たちは、企業こそが地域のインフラとなり、人々の生活と未来を支える重要な役割を担うとの思いで活動をスタートさせました。
地域の課題や多様性について、多くの方と一緒に考えることを目的に毎年開催している「ダイバーシティ市民大学」は、今年も7月9日に第1講がスタートしました。各回では県議会議員や地元大学の助教授などの外部講師を迎えて学びを深め、11月12日に最終講となる第5講が終了。全5講を通して、会内外からのべ87名が参加しました。
議論を重ねる中で見えてきたのは、支援がつながらない現状です。行政・企業・地域・福祉団体が存在しても、相互の連携が十分とは言えず、支援が途中で途切れてしまうことが多い。特に「グレーゾーン」と呼ばれる人々は制度の狭間に置かれ、偏見や差別から社会的に孤立しやすいという問題があります。こうした課題に対し、私たち中小企業にまずできることは「雇用」です。働く機会を通して、人を育て、働く場や住まい、食を提供しながら、自立を支えていくことが可能です。また、支援団体との協働により、地域の経済循環にも寄与できます。
これまで、まず多くの経営者に社会課題の実態を知ってもらおうと、市民大学や経営研究フォーラムの分科会を通じた情報発信、誰もが挑戦できる仕事づくりの提案、支援団体とのネットワークづくりなどを進めました。また「職親」の概念にも着目し、かつては当たり前にあった、職場の先輩や経営者が若者を支え導く文化を取り戻すことで、生きづらさを抱える人々にとっての「居場所」と「希望」を企業がつくり出すことをめざしています。
「地域の未来を企業が支える」その実現に向け、これからも一歩一歩、活動を積み重ねていきます。
「中小企業家しんぶん」 2025年 12月 25日号より









