ナフサは原油から作られる石油化学の最も重要な原料です。ナフサを分解すると、まずエチレン・プロピレン・ベンゼンなどの基礎化学品ができ、そこから非常に多くの製品が生まれます。(表)
(表)ナフサ分解による生成物(基礎化学品)とその用途
| 生成物 | 主な用途 |
|---|---|
| エチレン | ポリエチレン、塩化ビニル、包装材、レジ袋、食品包装フィルム、ラップ、ゴミ袋、シャンプーボトル、ポリタンク、コンテナ、農業用フィルム、ペットボトル(PET)、ポリエステル繊維、不凍液(自動車)、洗剤原料、化粧品原料、水道管、電線被覆、床材、壁紙、窓枠、発泡スチロール、家電製品外装、食品トレー、断熱材接着剤、塗料。木工用ボンド、フィルム、自動車タイヤ、ホース、パッキン、シール材 |
| プロピレン | ポリプロピレン・容器・自動車部品、ストロー、キャップ(ペットボトル)、洗濯機部品、自動車内装、医療容器、アクリル繊維(衣類)、カーペット、家電外装、ウレタンフォーム、断熱材、消毒液、洗浄剤、医療用アルコール、洗浄液、合成ゴムブタジエン合成ゴム、タイヤ、ゴムホース、ゴムベルト 家電外装、パソコン・プリンター、自動車内装、おもちゃ、靴底、接着剤、シーリング材、医療用手袋、ゴム手袋、ナイロン原料 |
| ベンゼン | 合成繊維、塗料、接着剤、発泡スチロール、食品トレー、カップ麺容器、電子基板、ナイロン繊維、ストッキング、洗剤原料、合成ゴム、医薬品原料トルエン溶剤、塗料、シンナー、接着剤、ウレタンフォーム、ポリエステル、プラスチック、インク |
出所:編集部作成
ナフサの調達先は、中東4割・国産4割・その他の地域2割となっており、民間在庫は20日間程度と言われているため、極めて脆弱(ぜいじゃく)な構造をしています。日本では、これまで月に約280万キロリットルのナフサが供給されていました。そのうち約110万キロリットルが国内精製、約45万キロリットルが中東以外からの輸入、約120万キロリットルが中東からの輸入です。日本向け原油の93%がホルムズ海峡を通るため、国産分についても中東に依存していると言えます。
現在、ホルムズ海峡の封鎖により中東産の原油やナフサの供給が途絶えています。中東産のナフサ月120万キロリットルの不足分について、政府は中東以外からの輸入量を2倍の90万キロリットルにする方向で対応を進めています。足りない30万キロリットルは「川中製品の調達の強化」と「川中製品の在庫の活用」をすることで、従来の月280万キロリットルを満たそうとしています。これにより、約4カ月分の安定供給を確保しているとの見解です。しかし、純粋なナフサの在庫が4カ月分あるわけではない点や、国産ナフサの原料である原油も中東産であり、原油輸入の代替もできていないという点は留意が必要です。
三菱ケミカルグループ・出光興産・三井化学・旭化成など主要化学メーカーが相次いでエチレンの減産を発表し、一部では操業停止の検討を迫られる事態となっています。主要建材メーカーでもTOTOはシステムバス・ユニットバスの 新規受注の見合わせを発表し、LIXILも供給制限、価格・納期調整、出荷制限を発表しています。
ナフサの量を確保しても、ナフサ生成物の減産もあり、さまざまな製品が生産できず、供給の制限や停止がすでに発生しています。今後の状況によっては、主な用途(表)にある数々の製品・商品の高騰だけでなく、供給自体ができなくなるサプライショックに発展する可能性もあります。危機ではありますが、危険(リスク)と機会(チャンス)と見て、乗り越えていきましょう。
「中小企業家しんぶん」 2026年 4月 25日号より










